ビールを目上の人に注ぐときはラベルを上にするべきか。ネットでそんな「大人のマナー」が話題になった。この問題にまさに大人力コラムニストの石原壮一郎氏がケリをつける。
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瓶ビールは、何かと物議を醸します。最近も「ラベルを上にして注ぐかどうか」という問題が、ネット界隈で盛り上がりました。きっかけは、ビジネスマンらしき人による2チャンネルへの書き込み。会社の新年会でビールを注ぎに来たゆとり世代の新入社員が、ラベルを下にしていたので「逆だろ」と指摘したら、相手が「?」となったそうで、「ゆとりやばすぎ」と嘆いています。
本人は「ラベルを上にして注ぐという常識を知らないなんて」という意図で書いたようですが、共感する声を上回る勢いで、「めんどくさいな」「ラベルの向きとかクソどうでもいい小さい事に拘る>>1さんしょっぱい仕事しか出来なさそう」「ラベルの向きでスレ立てる上司とか引くわー」といった非難の声が集まりました。
マナーというのは、けっして強制ではありません。たしかに、ラベルをどっちに向けようがビールの味は同じですが、上にして注ぐぐらいのことで相手に敬意を示すことができたり「ちゃんとしたヤツ」と思ってもらえたりするなら、ちょろいもんです。そんなどうでもいいことで「ダメなヤツ」の烙印を押されかねないリスクを考えると、いちおうやっておいたほうが無難だし得策だと考えるのが、大人の計算高さと言えるでしょう。
まあ、中年世代にとっては、注ぐときにラベルを云々というのは今さらの話。何かとややこしい瓶ビール問題に関して、じっくり考えておきたいのは、部下や後輩に注がれたときの対応です。ラベルを下にして注いで来たら、ちゃんとラベルが上になっていたら、瓶を片手で持って注ごうとして来たら……。ひと味違う大人の対応で相手を感心させ、あわよくば(ビールだけに)尊敬の念や憧れの気持ちを抱いてもらいましょう。