AI(人口知能)が個々の投資家に最適なポートフォリオを提案し、実際の運用まで担ってくれるロボアドバイザー投資のサービスが日本でも広がっている。
ロボアドバイザー投資はアメリカで始まったサービスだ。日本では香港の金融グループ8リミテッド傘下のエイト証券が2015年に日本初となるロボアドバイザー投資「8 Now!(エイトナウ)」をリリースした。
2016年に入ってお金のデザイン、ウェルスナビといったフィンテックベンチャーがサービスを開始し、楽天証券やマネックスグループも参入した。
一般的な分散投資は日本株、日本債券、外国株、外国債券の4資産を均等に持つのが基本の配分とされるが、ロボアドバイザーではその人の投資期間や運用額、リスク許容度などを複数の質問の回答から総合的に判断し、4資産以外の資産クラスも組み入れ、よりきめ細かい資産配分を提示する。そのポートフォリオに納得すれば、投資一任契約を結んで入金し、自動運用がスタートする仕組みだ。
こうした仕組みは特に投資初心者にとってメリットが大きいが、定期的に資産配分を調整する「自動リバランス」機能は中上級者にとっても魅力的だ。
リバランスは、相場の変動で本来の分散割合が変わってしまった場合に、元に戻すための売買をすることだ。たとえば、株式と債券に半々で投資している場合、株価が上がって債券価格が下落すると分散割合が変わってしまうので、株を一部売って債券を買い増すことで半々の割合に戻す必要がある。結果として高くなった資産を一部利益確定したり、安くなった資産を追加投資できるので、定期的なリバランスを行なうことで運用成績は向上するといわれる。
リバランスの必要性は理解していても、定期的に実行するのは意外と難しいものだ。割合を計算して少額を売ったり買ったりする作業自体が面倒であるうえ、何より「感情」が邪魔をしがちだ。前述の例の場合、株価が大きく上昇している局面では「もっと上がるのではないか」と欲が出て売るのが難しくなり、下落している債券は「もっと下がるのでは?」と思うとなかなか買えないのだ。
ロボアドバイザーなら頻度はサービスによって異なるが、自動でリバランスをしてくれる。しかも、本来リバランスは資産の売買を伴うのでコストがかかるが、運用手数料に含まれるので追加のコストは不要だ。
●文/森田悦子(ライター、ファイナンシャルプランナー)