根拠については不明だが、政界、芸能界、スポーツなど各業界人になぜか信じられているジンクス。その検証とジンクスが生まれた理由をまとめて紹介する。(2016年月日更新)
◆野球編
︎2年目のジンクス
新人王では2008年・小松聖(15勝→1勝)のような例もあるが、2008年・山口鉄也(23H→35H)、2009年・摂津正(34H→38H)、2012年・野村祐輔(9勝→12勝)など2年目に伸びる例も実は多い。昨年新人王の山崎康晃(DeNA)、有原航平(日ハム)も2年目は好成績。
︎代わったところに飛ぶ
1996年夏の甲子園決勝戦。延長10回裏に1死満塁のサヨナラのピンチを迎えた松山商・澤田勝彦監督は、ライトを3年・矢野勝嗣に交代させる。熊本工の打者のフライがそのライトに上がり、矢野がノーバウンド返球。強肩の矢野を起用したのはジンクスを信じたのか。「ジンクスはわかりませんが、野球に神様がいることだけは間違いないと思った試合でした」(澤田監督)
︎「ヤギの呪い」VS「コラビトの呪い」
「108年もの長きにわたりカブスを世界一から遠ざけた理由といわれたのが『ヤギの呪い』。1945年のWSで、ヤギを連れて観戦しようとした居酒屋店主が入場を断わられて、“二度と世界一になれない”と言い放ったことに由来します。一方のインディアンスにも、本塁打王のロッキー・コラビトの放出以来68年間優勝がないことを指す 『コラビトの呪い』がありました」(MLB研究家・福島良一氏)。結果、カブスが世界一に。「呪いの力」の強さはコラビトに軍配?
◆大相撲編
︎不知火型土俵入りの横綱は短命
土俵入りには、せり上がる時の腕のかたちの違いで「雲竜型」と「不知火型」がある。左手を胸に当てる「雲竜型」の横綱には大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花など大横綱が多く、両腕を広げる「不知火型」だと在位中に急死した玉の海、琴櫻、隆の里など短命といわれた。その“例外”が「不知火型でも1000勝」の白鵬。
︎弓取式をやる力士は出世しない
出世したといえるのは巴富士(元小結)くらい。弓取式を務める幕下力士は作法や手順を覚える必要があるので、「出世の早い力士に任せにくい」(若手親方)という事情がある。また、「幕下でありながら大銀杏が結え、手当が支給され、そこに満足してしまうことも伸び悩む一因」(同前)だという。
︎平幕優勝力士に大関なし
戦後、平幕優勝は19人いるが、のちに大関以上に昇進したのは4人だけ。しかも、19回のうち13回は翌場所が負け越し。1992年に平幕優勝した水戸泉も最高位は関脇。「下位での優勝の場合、横綱との対戦がないケースもある。実力が伴わない優勝のため、上位と対戦するようになると成績を残せない」(元力士)
︎学士力士は横綱、大関になれない
これまで入門した学生出身力士は206人。関取は114人いるが、横綱になったのは輪島の一人だけ。大関ですら琴光喜らわずか7人(輪島含む)。「入門時に年寄株取得が約束され、ハングリー精神が欠けているため」(元力士)
◆政界編
︎雨の日に就任した総理は短命
・小渕恵三首相→雷雨(在任1年8か月)
・森喜朗首相→雨降り続く(在任1年1か月)
・安倍晋三首相(第1次)→土砂降りの大雨(在任1年)
・野田佳彦首相→午後から雨(在任1年3か月)
︎「ビストロSMAP」に出演すると総理になれる
フジテレビの人気番組『SMAP×SMAP』の料理コーナー「ビストロSMAP」へのゲスト出演は“総理への登竜門”として知られ、来店した自民党政治家のうち小泉純一郎氏(1999年出演)、安倍晋三氏(2005年出演)、麻生太郎氏(2008年出演)の3人が2年以内に総理になった。
︎法務大臣は総理になれない
現在まで歴代99人の法務大臣の中で総理になった人物は1人もいない。法相経験者には谷垣禎一・前総裁や高村正彦・現副総裁など自民党総裁選に出た実力者が少なくないが、それでも総理が生まれない。
︎総理になれない3ジンクス
【1】県議あがり
【2】参院議員出身者
【3】落選経験者
1987年の総裁選で出馬したのは島根県議から衆院議員になった竹下登氏、参院議員から衆院議員に転じた宮沢喜一氏、落選経験がある安倍晋太郎氏の3人で、誰が勝っても1つのジンクスが破られる。当時の中曽根康弘首相の裁定で竹下氏が後継総裁・総理に指名され、その4年後、宮沢氏も総理になった。だが、「落選経験者」が総理になるのは20年後の麻生太郎首相(2008年就任)まで待たなければならなかった。
◆経済編
︎金曜ロードショーでジブリが放映されると株・為替相場が荒れる
金曜ロードショーでスタジオ・ジブリのアニメ作品が放映されると市場は荒れ模様になる。放映時間が米国の雇用統計などの経済指標の発表と重なることが多いからという説も。
︎本社ビルを立派にすると業績は悪くなる
「本社ビルの新築や豪華な賃貸ビルに移転すると、移転コストがかさんで財務を圧迫するうえ、経営者に達成感が出て業績が悪化するケースが多い」(『経済界』編集局長の関慎夫氏)
︎申年円高、酉年円安、辰巳天井、午尻すぼみ
市場の干支のジンクスからも来年の「酉年」は円安のめぐり。「酉年は過去3回の平均で前年比2.6%の円安。また、辰年、巳年と並んで株価も上昇傾向。株価は過去5回の酉年の平均で前年より15%上がっている」(三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉・チーフエコノミスト)
︎スポーツ選手が国民栄誉賞を授与されると景気が良くなる
「文化人や芸能人の時に比べて、スポーツ選手の受賞時は景気が良くなる傾向にある」(宅森氏)。今年9月、女子レスリングの伊調馨が24人目の国民栄誉賞を受賞。期待していいのか。
◆芸能界編
︎ダウンタウン・浜田雅功に“叩かれる”と売れる
「浜田さんに思いきりはたかれて痛がれば、テレビ画面に大写しにしてもらえる。芸人の間では“叩いてくれるのは浜田さんの愛”ということになっているそうです」(タレント・リポーターの菊田あや子氏)
︎昼ドラに出演したヒロインは離婚する
高岡早紀は『真実一路』(2003年)に出演した翌年に保阪尚希と離婚。国生さゆりは『愛しき者へ』(2003年)の放送終了後半年も経たずに中学の同級生との離婚を発表した。 「昼ドラの撮影はとにかくスケジュールが過酷で、一度出演すると『もう勘弁』と悲鳴を上げる人もいるほど。それで夫婦関係がぎくしゃくしてしまうのかも」(ドラマ制作スタッフ)
︎山瀬まみがレギュラーだと長寿番組になる
『新婚さんいらっしゃい!』は今年で46年目。『ためしてガッテン』(山瀬は今年3月で卒業)は今年で22年目。『天才!志村どうぶつ園』も10年超え。「等身大の素直なキャラとコメントで飽きられないのでは」(番組関係者)
◆生活編
︎霊柩車を見たら親指を隠さないと親族が亡くなる
「『葬列を見たら親指を隠せ』ともいわれていた。親指はその名の通り、『親』の象徴。また、目に見えない悪いものは親指の爪先から入ると考えられていた」(国立歴史民俗博物館名誉教授・常光徹氏)
︎夜に爪を切ると親の死に目に会えない
「自分が身につけていたものは体から離れても影響力を持つとする考え方があり、爪もそう。夜は魑魅魍魎が徘徊する。切った爪に何か悪いものが憑くと自分に悪い影響があると考えられていた」(常光氏)
︎蛇の夢を見ると金持ちになれる
文学評論家・北嶋廣敏氏の著書『日本人の「縁起」と「ジンクス」』によれば、脱皮しながら再生し、長生きすることから繁栄のイメージが生まれたとされる。なお、“蛇の交尾を見ると金儲けができる”ともいわれる。
︎猫が顔を洗うと雨が降る
猫のヒゲは非常に敏感。「僅かな湿気さえ感じ取る。口の左右に加え、両目の上と左右の頬、あごの下にも同様の毛が生えているので湿度が上昇するとヒゲ先に違和感を覚え、顔を洗うのでは」(動物学者・今泉忠明氏)
◆世界編
︎朴槿恵氏が外遊に出ると韓国で大事件が起きる
2013年5月の訪米の際は報道官のセクハラ騒動が発覚。2014年6月の中央アジア歴訪中にはセウォル号事件で辞任した首相の後任候補が辞退表明、同9月のカナダ訪問時は秘書官が突然辞任した。
︎スウェーデンでは「K」と書かれたマンホールを踏むと恋が叶い、「A」だと失恋する
スウェーデン語で「愛」は「KARLEK」。若者の間で「K」が刻まれたマンホールを踏むと恋が成就するというジンクスが生まれた。ちなみに「A」が刻印されたマンホールなら失恋するとも。否定(never)の意を持つ「ALDRIG」の頭文字が「A」だから。
︎スペインでは13日の火曜日の縁起が悪い
「最後の晩餐」に13人の出席者がいたことなどから「13」の縁起が悪いのは他のキリスト教圏と同じ。金曜日ではなく火曜日なのは、スペイン語の火曜日「martes」がギリシャ神話において戦争・血・暴力などを司る神Marteに由来するため。
︎専制国家がオリンピックを開催すると10年以内に体制が崩壊する
・1936年/ベルリン五輪→1945年/ナチス・ドイツ崩壊
・1980年/モスクワ五輪→1989年/東西冷戦終結
・1984年/サラエボ五輪→1992年/ユーゴスラビア社会主義連邦解体
・2008年/北京五輪→2017年/??
一党独裁国家では五輪開催8~9年後に体制崩壊や政変が起きるという“法則”。五輪を機に各国との民間交流が盛んになり、国民が民主主義的価値観に目覚めるからなどといわれる。共産党一党支配の中国は来年、北京五輪から9年目を迎えるが……。
︎ソ連・ロシアの最高指導者には“つるフサ”の法則がある
ロシア革命を手動したソ連の初代最高指導者・レーニン氏以降、政治トップに髪の少ない人物と多い人物が交互に就任する。「つるつる」のプーチン氏は2008年、大統領の座を「フサフサ」のメドベージェフ氏に譲ったが、2012年に再登板。法則は現在も継続中。