2016年1月10日にスタートし、同年12月18日に大人気のまま幕を閉じたNHK大河ドラマ『真田丸』(主演・堺雅人)。
今も「真田丸ロス」という読者のために、過去にNEWSポストセブンで報じた『真田丸』主要キャストたちのインタビューをお届けする。(2017年1月15日更新)
主人公・真田信繁と真田一門
【真田信繁(幸村):堺雅人】
『真田丸』の撮影終わり「家に無事帰れた安堵あった」
――クランクアップ、お疲れさまでした。
堺:長い旅行から帰ってきたという気分です。旅が終わるのは淋しいんですけど、家に無事に帰れた喜びと、安堵がありましたね。今は、ご飯を作って食べて、風呂を沸かして入ってという普通の生活を、新鮮な気持ちでやっています。
1年2か月という長い撮影は生まれて初めてでしたし、今回の撮影をよく旅に例えていたのですが、考えてみると1年2か月も旅行をしたことはありませんでした。本当に得難い経験をさせていただいたなと思います。
「8か月あれば、400年残る何かができるのかもしれない」
――信繁の人生の中で、1番輝いていたのは大坂の陣?
堺:そうですね。入城してから死ぬまで、たった8か月。そこで真田幸村は有名になったわけです。人生ってそんなもんだなって気もするし、8か月あれば、400年残る何かができるのかもしれない。
【信繁の父・真田昌幸:草刈正雄】
「真田昌幸は40年の俳優人生でやっと出会った役」
草刈:俳優という仕事で、本当にやりたい役をいただけるのは10年に1本あるかどうか。ぼくの場合は、40年の俳優人生でやっと出会ったと思えるくらい、この真田昌幸という役にのめり込んでいます。
もしもみなさんが魅力的だと思ってくださるのだとしたら、それはぼく自身が心からこの作品を愛しているという気持ちが、テレビ画面を通して伝わっているからじゃないかと思いますね。
「大泉さんは役者として本当に凄い。堺さんは緻密」
草刈:大泉さんは役者として本当に凄い。プロフェッショナルです。あんな生真面目な顔は他の作品では見たことないですもんね。堺さんは緻密です。リハーサルでもよく質問していますし、そこまで考えるのかというくらい、気合いが入っていますよ。
ここまで共演者とワクワクするリハーサルはありません。その楽しさは、堺さんも大泉さんもビシビシと感じていると思います。
「性格的にはあんなに豪快なおじさんじゃない(笑い)」
――昌幸と草刈さんは、似ているところがあるそうですね。
草刈:そうですね、台詞で「わしは勘で生きている」というのがあるんですけど、ぼくも同じで、直感があるんです。台本を読んでいて、やりたいこととか、したいことが、パッと頭に浮かぶんですね。それが昌幸と似てるところです。でもそれくらいで、性格的にはあんなに豪快なおじさんじゃない(笑い)。
【信繁の兄、信之(信幸)の正室・稲:吉田羊】
大泉洋に“元妻”と名前を間違えられた
吉田:大泉さんとのエピソードでいえば、地震の後に信幸さんが「稲、大丈夫か」って抱きしめてくれるシーンがあったんですけど、リハーサルで大泉さんが「おこう!」って私に言ったんです。
元妻の名と間違えられて、普通に悔しかったです。「今なんて言った?」って言ったら、「本当にすみませんでした」って、大泉さん土下座してました。その後、「すごい素直に出ちゃいました」って、また余計なことを言うんですよね(笑い)。
【信繁の義兄・小山田茂誠:高木渉】
『真田丸』で話題の49才新人俳優・高木渉の素顔
主人公信繁の義兄・小山田茂誠を演じる高木渉。初登場以来、そのインパクトの大きさから「この人は一体誰?」と彼の名をネットで検索する人が急増。
高木:三谷さんからも同じ時期に“来年のスケジュールあいてる?”と言われて。今から映像の世界って右も左もわからないけど、もう何としてもやりたいっていう気持ちが沸き上がってきましてね(笑い)。
【真田家家臣・出浦昌相:寺島進】
役作りでは「能をヒントにした」
――役作りで大切にされた点は?
寺島:能の芝居にヒントを得ました。能面って表情が変わらないじゃないですか。でもシチュエーションによって、喜怒哀楽をお客さんが感じる。出浦もなるべく、表情を崩さないように心掛けています。
豊臣家と豊臣一門
【豊臣秀吉:小日向文世】
「半分笑っている目をしている堺くんはぼくと似ている」
小日向:ぼくの意図してないところで、笑っているようで目が笑ってないと言われるんです。目の奥が笑わない芝居って、難しいですけどね(笑い)。きっと、秀吉の裏の部分を視聴者がわかっているから、笑っているようで実は相手の心を見抜いている、と想像してくれるからじゃないかと思う。ってことは、三谷さんの本の力かな(笑い)。
どこか、いつも半分笑っている目をしている堺(雅人)くんは、ぼくと似ていると思います。でもそれが、怒ると怖い。だから堺くんも、怒りに身を震わせるシーンは怖くなると思います。
鈴木京香と3回目の夫婦役「もっと仲の良いシーンが欲しかった」
小日向:京香さんは夫婦役3回目なんです。いつも素敵だと思っているんですけど、今回の寧は、本当に似合ってましたね。もっと秀吉と寧の仲の良いシーンが欲しかったです。
さっき竹内(結子)さんと会ったんですけど、改めて、やっぱり綺麗だなと思いました。今日は茶々が源次郎(堺雅人)の手に触るシーンを撮るんですよね。それがちょっとムカッてきています(笑い)。
【秀吉の正室・寧:鈴木京香】
秀吉の臨終で微笑んでしまい「腹黒い女に見える」と心配
鈴木:殿下(秀吉)が亡くなる寸前なのに、微笑んでしまったんです。視聴者の方に、腹黒い女に映っていたらどうしようと思いました(笑い)。あんなことも、こんなこともあったわねと思いながら小日向さんを見ていたら、自然に笑みがこぼれてしまって。
【豊臣家家臣・大谷吉継:片岡愛之助】
実在の人物演じるときは墓参りを心がける
――今年の3月、関ヶ原にある吉継の墓参りをされていましたね。
愛之助:歌舞伎でもそうですけど、実在の人物を演じるときには、お墓参りに行っておきたいものなんです。逆に言うと、行かないと大変な目に遭うときもあります。
【細川忠興の正室・玉:橋本マナミ】
長澤まさみとの秘話「下着を脱いで貸してくれました」
橋本:長澤さんとのエピソードでは、印象的なアクシデントがありました。私の着物のお尻の部分が破けていて、それを長澤さんが見つけてくれたんです。
「なにかはいてますか?」って聞かれたんですけど、私は何もはいていなくて。そうしたら、自分がはいてる下着を脱いで、貸してくれました(笑い)。
【牢人衆・後藤又兵衛:哀川翔】
現場でクワガタを捕まえる
――ロケ現場でも、虫を捕まえたそうですね。
哀川:たまたま水飲み場にノコギリクワガタがいたんです。みんな捕るなって言うけど、俺の家にいた方が幸せだから持って帰ったんだよ。俺の家、虫のオアシスなんだもん(笑い)。
徳川一門と北条家
【徳川家康:内野聖陽】
家康の役作りで「実は臆病」見せるのに苦労した
内野:『真田丸』の家康は、簡単にいうと、鬼退治の鬼のような存在かなと考えていたんです。すると三谷(幸喜さん)さんが、臆病で慎重で気の小さい男として家康を描いていたので、非常に戸惑いました。当初は手探りで演じてましたが、三谷さんから「とてもよかった」とメールが来たので、安心したのを覚えています。
【家康の側室・阿茶局:斉藤由貴】
「家康役の内野さんは、ほんっとうにバカなんです(笑い)」
斉藤:家康役の内野さんは、ほんっとうにバカなんです(笑い)。ただのバカじゃなくて、役者バカなんですよ。徹頭徹尾、芝居のことしか考えてない。自分がどうしたら、家康としての役柄を深められるか、120%そのことしか頭にないと思うんですよ。完全に芝居に魅入られちゃってるんだなって、見ていて面白いです。
【徳川家家臣・本多忠勝:藤岡弘、】
本田忠勝には出演前から惚れこんでいた
藤岡:この武将は偉大だな、なんでこの人の名前が世に出てこないんだろう、とかねがね思っていたのが本多忠勝公だったんです。ずいぶん前に房総にある大多喜城に行ったときから忠勝に興味を持ち、資料を読んで惚れ込んでいた武将でした。
人を裏切らず、欲にかられず、忠義の知将でもある。こういうリーダーこそ組織にいて欲しい人間だと思っていたんです。だから、「是非とも」とオファーがきたときはびっくりしたし、三谷幸喜先生の願いと聞き、引き受けたいと思ったんです。
【戦国大名・北条氏政:高嶋政伸】
三谷脚本は「練習するとわからなくなる」
――北条氏政は演じやすい人物だった?
高嶋:三谷さんの台本は一見やりやすい印象があるんですけど、練習を重ねていくと、途中でわからなくなっちゃうんです。内野(聖陽)さんも言っていたんですけど、「一口目はとってもおいしいんだけど、そこからだんだんわからなくなる」。ぼくもその通りだなと思います。
すごい大音量と静寂とか、生と死、名誉とスキャンダル、愛と憎しみとか、対極にあるものが一緒くたになっているような人物で、こりゃ大変な役を受けちゃったなと。