年末の大掃除のために洗剤を買いそろえたけど、「ちゃんと落ちなかった」とお嘆きのあなた。それは、汚れと洗剤の相性が悪かったのかもしれない。ならば正しい選び方を知りたい! 洗剤のエキスパートに、正しい選び方や使い方を聞いた。
教えてくれたのは、家事代行サービス「タスカジ」などで汚れ落としの勉強会も実施している、『きれい研究所』社長で汚れ落としコンサルタントの茂木和哉さん。キッチンの掃除方法について解説してもらった。
何でも落ちる万能洗剤は存在しないと茂木さん。気になる汚れごとに洗剤の使い分けも必要だという。では、どのように洗剤を使い分けるとよいのか。食器洗い用洗剤は、界面活性剤で油や汚れを落とす、中性~弱アルカリ性のものが中心。
「界面活性剤の泡には油と水をつなぐ性質があり、油を取り込んで水で洗い流すことができるのです。泡もちがよければ、少量の洗剤で汚れが落とせ、泡切れがよければ、手早くすすげて時短になります。料理直後の鍋も、大抵の汚れは食器用洗剤で充分落ちます」(茂木さん・以下「」内同)
ポイントはできた汚れはすぐ落とすことだ。そして、料理中の吹きこぼしなら、食器用洗剤で落とせるが、焦がしてしまったものは別。
「単なる油汚れや吹きこぼし汚れでも、熱が加わると徐々に炭化し、性質が変わるんです。こうなると、アルカリで中和して落とすことはできず、研磨剤でこすり落とすしかありません」
力まかせにこすると鍋を傷つけてしまうので、硬すぎないスポンジで、やさしく磨くのが吉だ。また、換気扇やフードなどにこびりついた油汚れは、蓄積すればするほど落としにくくなる。
「油汚れは放置すると酸化が進み、樹脂化して硬くなるんです。付いて1~2か月なら一般的な中性洗剤でも落ちますが、頑固なものは、アルカリで中和させて落とします。中和すると油が溶けるように浮いてくるので、あとは力を入れずに拭き取ればOKです」
油汚れと同じくらい触りたくないのが、排水口などのヌメリ汚れ。
「気をつけて洗っていても、汚れがたまりやすい排水口は、雑菌やヌメリ、においが発生しやすい場所です。定期的に除菌力の高い塩素系の洗剤や漂白剤を使うのがいちばんです」
粘性の高いものや泡タイプは、菌に密着しやすく、除菌効率も高まるので◎。さて、野菜室や棚など洗剤をあまり使いたくない場所をきれいにしたい場合はどうしたらいいのか。
「油汚れや手あかは酸性なので、アルカリが有効。一般の洗剤を使うと水による重ね拭きが必要ですが、水を電気分解して作るアルカリ電解水は、アルカリイオンの働きで汚れを浮かせて落とすので、一度拭くだけでOK」
水に含まれるカルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラルが空気に触れ、水分が蒸発して残った成分が水あか。
「IHの天板の輪じみなども水あかが原因。水あかはアルカリ性なので、酸で中和させてから、研磨して落とします」。
※女性セブン2017年1月26日号