著書『中国4.0』が話題のエドワード・ルトワック氏は、トランプ新政権は中国の冒険主義的な行動をもはや許容せず、米中関係は大きく変わると予測する。そんななか、今年、中国が尖閣諸島への侵略を実行に移す可能性があると語る。「米中関係」と「日米関係」から分析した、その対策を産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が聞いた。
* * *
日本について言うならば、2017年には中国が尖閣諸島に多数の「漁民」を軽武装で上陸させてくる可能性がある。実際には民兵であるこれら「漁民」は人民解放軍の指揮下にある「漁船」で上陸し、日本側が出動させるヘリコプターに対してフレア・ガン(照明弾や発煙弾を発射する信号銃)を一斉発射して撃退するだろう。
この尖閣攻撃は、中国側が日本のなまぬるい対応を事前に知っているためにその可能性が高くなってきた。
日本側は憲法上の規制などで尖閣に侵入してくる中国の軍事要員に対しても警察がヘリで飛来して、違法入国で逮捕し、刑事犯として扱おうとする対応を明らかにしている。だから中国側の偽装漁民はフレア・ガンでまずそのヘリを追い払うわけだ。ヘリがフレア・ガンに弱いことはよく知られている。この場合、米軍の介入も難しくなる。
日本に必要なのは、尖閣諸島を、重要施設が集中している「東京都千代田区」と同じにみなし、そこへの侵略は本格的な軍事作戦で撃退することだ。日本側はいまその軍事反撃ができないことを内外に広報しているような状態であり、中国の侵略をかえって誘発する危険を高くしている。
日本は自国の防衛のために現実的かつ本格的な軍事作戦を遂行する意思や能力があることを示さねばならない。そのことこそが中国の軍事的な侵略や威嚇への抑止となるのだ。