『女性セブン』描き下ろし新連載『恋する母たち』の作者・柴門ふみさん(59才)は、エッセイストとしても知られている。2016年12月に発売されたエッセイ集『老いては夫を従え』では、「老い」を受け入れていく等身大の自分を描いた。「好きな服より似合う服」「怒りが止められない」など、同世代の女性が思わず頷うなずいてしまうエピソードの数々。柴門さんに「夫婦」について語ってもらった。
『老いては夫を従え』は、今年、還暦を迎える柴門さんが「老い」を受け入れていくエッセイだ。自身だけでなく、夫で漫画家の弘兼憲史さん(69才)とのエピソードもたくさん紹介されている。
柴門さん自身も、夫の弘兼さんも現役の漫画家だ。この職業に定年はない。これから夫婦どのようにつきあっていこうと考えているのか。柴門さんはこう語る。
「お互いの邪魔をしないような関係を続けていきたいです。夫は『おれはきみのやることに何も口出ししないから、その代わり、おれを自由にさせてくれ』というスタイルでした。
結婚してから、ずうっとそうでしたね。私には、それがよかった。同業というより性格が同じですね。私は、すごく踏み込んでくる人が苦手なんです。相性がよかったんだと思います。夫婦は、向き合うと煮詰まると思います。煮詰まらないためには、子供がいる夫婦なら、子育てがいちばんいいと思っています。
子供を育てるという共通の目的に向かって、お互い譲り合うところは譲って、協力するときは協力して、目的に向かって頑張っていきましょうというのが良策だと思います。子供は変化します。そうすると、子育ての仕方が変わるんですよね。小さい頃と、中学生や高校生とはまた全然違うんです。だから、その都度に夫婦で相談しなきゃいけないわけです。
そうやって共通の感情と時間を共有していくのが夫婦だろうなというのが、私の今のところの結論です。その共有しているものが多ければ多いほど、絆は深まります。ほかの人とは取り換えのきかない、かけがえのない存在になっていくんですよね。
だから、その共有の感情とか共有の時間がないと、『ほかの人でもいいや』と、すぐ離婚して、また別の人と一緒になっちゃったりすると思うんです。子供がいない夫婦は、共通の趣味や旅行で、感情と時間を共有してはどうでしょう。
よくすれ違いで離婚したと言う夫婦がいるじゃないですか? あれは、結局、気持ちのすれ違いなんですよね。だから、生活がすれ違っても、一日30分でも話し合えば、気持ちはすれ違わない。そうすれば、なんだかんだでうまくやっていけると思います」
※女性セブン2017年1月26日号