いつからか投資の世界では、1億円以上を稼ぎ出した個人投資家のことを「億り人」と呼ぶようになったが、その下には“億り人”を目指す個人投資家たちがひしめき合っている。彼らは、いかにして資産を築き上げているのか? 立川優一さん(仮名。30代・投資歴13年・運用金額3400万円)が、自身の投資遍歴を振り返る。
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社会人としての勉強にもなるかなと思って、2003年に株式投資を始めました。当時、りそな銀行に公的資金が注入されるなど、日経平均が最安値を記録した時期だったのですが、そこからV字回復。元手100万円でメガバンクやトヨタなどを中心に買って、軒並み数倍になりました。始めた時期がよかったですね。
しかし、2006年のライブドア・ショック時には1銘柄に1000万円突っ込み、業績が市場の期待より悪くストップ安となり、150万円損切りするなど、痛い経験もしました。「業績がいい銘柄は必ず株価の見直しが入る」と信じていましたが、短期的にはそうならないことを痛感しましたね。
その頃からはFX(外国為替証拠金取引)も始めました。レバレッジを利かせて豪ドルを大量に買う“スワップ派”で、毎日5000円のスワップ金利がもらえるほど持っていました。当時の目標はスワップ金利で1日1万円。ところが2008年からの世界的金融危機で、高金利通貨は暴落と利下げのダブルパンチ。“1日1万円スワップ計画”はあえなく破綻し、350万円の損切りをしました。
そんな経験もありましたが、トータルでは株もFXもそこそこ儲けることができています。現在、証券口座に1155万円、FX口座は970万円、投信1280万円などがあります。しかしこれは自分の実力ではなく、始めた時期がよかっただけ。今は「勝てるときだけ勝負する」という“ヒット&アウェイ”戦略に徹しています。
2011年からはツイッターで個人投資家をフォローするようにしたところ、ザラ場中はトレードのツイートでいっぱいに(笑)。空いた時間にツイッターを眺めるだけでも、相場の雰囲気を掴めるようになりましたね。
おかげで、アベノミクス相場初期に空気の変化を感じることができ、三菱UFJFGや三井住友FG、パナソニック、ソニーなど無難な大型株を買って、そこそこ儲けることができました。新興株やバイオ株ならもっと大きく儲けられたかもしれませんが、着実に利益を出せるだけでも十分です。
もっとも、アベノミクス相場が始まって最初の大きな暴落があった2013年5月以降は、含み益を大きく減らしました……。やはり、それまでの儲けも相場環境に助けられていたんですね。そこで、すぐにすべて利益確定して、しばらく様子見を決め込みました。“ヒット&アウェイ”を貫き、難しい相場のときは無理に勝負しなくてもいいと思っています。
これまでもテーマを決めて様々な銘柄研究をしてきましたが、最近ツイッターで個人投資家のグループにも参加して情報交換しているので、仲間と切磋琢磨していきたいですね。