ドナルド・トランプ大統領誕生で、どんな世界が待っているのか。作家の落合信彦氏が、2017年にトランプ氏を待ち構える苦難と危険について解説する。
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新しい年は、この世界が破綻に向かう幕開けの年となるだろう。
昨年秋に上梓した『そして、アメリカは消える』では、ドナルド・トランプとヒラリー・クリントンの戦いを「絶望の大統領選」と指摘した。そしてこの1月20日にトランプが大統領に正式に就任し、「絶望の世紀」が始まることになる。我々が生きているこの世界は、「暗殺」と「テロ」がはびこってますますジャングル化し、荒れ果てていくのだ。
何よりもまず、トランプ自身の命が危ない。
一番の要因は「移民批判」だ。トランプは「メキシコの費用負担でメキシコ国境に壁を作る」と繰り返し主張し、「犯罪歴のある300万人の不法移民を国外退去させる」考えを示している。
トランプの政権移行チームは、「壁」は議会承認を待たずに建設に着手する可能性があると表明した。加えて、オバマが認めた不法移民の「送還一時免除」や「就労許可」についての大統領令を無効にすることも模索しているという。
移民はすでにアメリカの隅々にまで入り込み、根を張っている。彼らにとってトランプは、生活の根幹を脅かす「敵」でしかない。
アメリカ国内にいる不法移民の中には、荒っぽい輩も少なくない。麻薬で有名なコロンビア・マフィアも多数入り込んでいる。彼らは暗殺ターゲットの脚をナイフで切りつけて襲い、胸部を刺した後に、局部を切断した上で喉を切り開いてそれを押し込むという残虐な殺害手法を使う。俺たちに背いたらこうなるぞ、と自らの凶悪性を見せつけるのだ。そんな「何でもやる」マフィアたちから、トランプは身を守れるだろうか。
※SAPIO2017年2月号