今年の箱根駅伝は、下馬評通り絶対王者・青山学院大が3連覇。テレビ中継は正月の風物詩として平均視聴率27.8%を叩き出した。
その圧倒的な注目度から、近年はあの手この手で中継画面に映ろうとするファンやパフォーマーが沿道に集まるようになっている。中でも、一部の駅伝フリークの間でその存在が知られているのが、毎年7区・二宮のポイントに現われるコスプレ集団「フリーザ様」だ。
漫画『ドラゴンボール』のボスキャラ・フリーザに扮した4人組で、本誌の「EKIDEN NEWSプレゼンツ『全区間完全ガイド』」(1月1・6 日号)でもその存在を紹介した。しかし、彼らの素性や経歴、なぜフリーザのコスプレを選んだのか、といった詳細は謎に包まれていた。今回、本誌記者は1 月3日の二宮・押切坂のポイントを訪れ、主要メディア初となるフリーザ様への直撃取材に成功した。
ボディスーツを纏い、顔をメイクで白く塗り潰したフリーザ様の1人が語る。
「普段はサラリーマンです。4人のメンバーはみんな地元の町立二宮小、二宮中で一緒だった幼馴染。10年ほど前、帰郷するこの時期に『みんなで何かやろう』と始めました。
マイケル・ジャクソンやカオナシ(映画『千と千尋の神隠し』の登場キャラクター)のコスプレもやったけど7年ほど前に1人が挑んだフリーザの格好が妙にしっくりきましてね。
年齢ですか? フリーザですから伏せさせてください(笑い)」
今年は、先頭を走る青学大の3年エース・田村和希の通過を合図に、TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の「恋ダンス」やピコ太郎の「PPAP」など、流行ネタを織り交ぜたダンスを披露。途中、テレビ観戦する知人に“どう映っているか”を電話で聞いてチェックすることも忘れない。
「毎年、1月2日に練習しています。遠くは秋田や新潟から会いに来てくれるフリーザ様ファンの方もいて、地元を盛り上げたい僕たちとしてはありがたい限りです。同じ格好をして“セッション”をしにきてくれた女性もいました」(同)
今回、初めてメディアの取材に応じたフリーザ様たち。答える彼らの表情は、心なしか緊張しているように見えた。その正体はいたって真面目で善良な駅伝ファンたちであった。
※週刊ポスト2017年1月27日号