芸能記者とタレントがトークバトルを繰り広げる番組が増えている。
特に昨年末は多かった。12月28日の『余談大賞2016』(TBS系)では、サンミュージック所属のお笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつが、『週刊文春』の現役エース記者と初対面。
同じく28日には昼の番組『バイキング』(フジテレビ系)がゴールデンに初進出。芸能人が、記者たちに「疑惑があるならなんでも書いていいのか」「取材して良心が痛まないのか」などと詰め寄る場面も。こうした番組は年明けも続いた。1月8日『あるある議事堂SP』(テレビ朝日系)では、スキャンダルをすっぱ抜かれたタレントが、それをスクープした記者本人から撮影したときの裏側を明かされて驚いていた。
もちろん今までこのような番組がなかったわけではない。2000年前後も『壮絶バトル!花の芸能界』(日本テレビ系)や『芸能界激突デスマッチ ワイドショーの主役』(テレビ朝日系)といったワイドショー系の特番が何度も放送、いずれもタレントと記者との対決が話題を呼んでいた。
しかし、当時スクープを提供していたのは梨元勝氏(2010年死去)や井上公造氏、城下尊之氏、石川敏男氏といったワイドショーのレポーターがメイン。現在の芸能ワイドショー特番では、週刊誌やスポーツ紙の記者が多いのが特徴だ。
その背景としてはやはり、ここ最近の『週刊文春』を始めとする雑誌メディアの報道合戦が大きいだろう。スクープを連発する記者たちがどんな人間なのか、何を思っているのか、裏方を表舞台に出して聞き出そうという狙いからオファーが絶えないのだ。
また、プロフェッショナルと芸能人と戦わせるという形式はトークバトルとしては定石だ。例えば『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)も、もともとは2000年に放送された『絶対に訴えてやるぞ!!芸能人VS弁護士軍団・大爆笑!法律バトル』というスペシャル番組が原型となっている。またこれまでも「VS占い師軍団」、「VS美容家軍団」、「VS結婚カウンセラー軍団」など、さまざまな組み合わせがあったが、「VS芸能記者」もその延長線上にある。
そうしたトークバトルは、パッケージさえ作っておけばシリーズ化も可能。また予算の多くは出演者のギャランティーだけで済むのでコストパフォーマンスが良い。