トランプ大統領誕生で、今後の日米関係と安全保障に不安が囁かれている。しかし軍学者の兵頭二十八氏はこれが好機になると予測する。
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日本の防衛費は2019年度にはGDP(国内総生産)の2.0%今の倍の10兆円にされるだろう。トランプ政権は「すぐにやれ」と迫るだろうが、財務省もいきなり2倍は無理。だから2018年度には過渡的な努力として1.6%でおゆるしを願う……。そんな「落とし所」を考えているはずだ。その概算要求は本年(2017年)中に考えねばならない。
かつてオバマ政権は全NATO加盟国に「GDPの2%」の国防費支出を求め、各国は同意をしていた。ところが2016年時点でその約束を果たしているのは、ロシア軍による侵略が切迫しつつあるポーランドとエストニア、および乱脈公務員天国のギリシャを除くと、英国のみ。その英国にしても、キャメロン首相がオバマ大統領からじきじきに「もしも2.0%を負担しないのなら『特別な米英関係』もおしまいだぞ」と脅されて、英軍削減計画を逆転させたものだった。
オバマ氏は2016年3月刊の『アトランティック』誌のインタビューで「欧州諸国も中東諸国も米国の軍事力にタダ乗りしている」と怒った。トランプ政権はこの怒りのレガシー(遺産)だけは継承し、日本にも「2%」を求めるはずだ。
わが国はまだ老齢化が続く。人件費や維持費が将来世代に祟らぬよう、増額分の使途はよく考えねばならない。突飛に聞こえるだろうが、以下に述べる事業こそは現実的で持続可能だ。