年明け早々から大幅な上昇を見せた日本の株式市場だが、投資のプロたちの間ではさらなる急騰局面の到来が囁かれている。注目を集めているのが、兜町関係者がこぞって熟読し、相場動向をピタリと言い当てることで知られる金融情報サイト『闇株新聞』が、「今年はバブル元年」と宣言したことだ。
ケイ・アセット代表の平野憲一氏は「今年はバブル元年」という闇株新聞の主張に同意する。
「日銀の黒田(東彦)総裁は量的緩和政策の継続を宣言しており、日銀が市中に直接供給するマネタリーベースは2017年後半に500兆円に接近する。これは1980年代バブル期の10倍を超える水準です」
投資情報を提供する「カブ知恵」代表の藤井英敏氏も日本株の大躍進に太鼓判を押す。
「積極的な財政出動を公約するトランプ大統領の就任が好感されてドル高・円安がますます進み、日本の主力産業の業績が改善して日経平均を押し上げる。日本株は日銀が年間6兆円ものペースでETF(上場投資信託)を買い入れ、株価を下支えしているので、大きく下落するリスクは小さい」
前出の平野氏は以下の条件次第では、日本株はさらに高騰すると指摘する。
「円安の定着による日本企業の業績改善に加えて、IR関連法への期待からカジノ関連の将来性に着目した海外資金が流入したり、AI(人工知能)技術などに注目が集まれば、日銀当座預金や市中銀行に滞留していたカネが動き出す。そうすれば今回のバブルはより大規模になるでしょう」
そもそもバブルとは、一般に、金融緩和などによる余剰資金が株式や不動産などに投機され、資産価格が実需からかけ離れて大きく膨らむことを指す。1980年代にはプラザ合意以降の円高・ドル安を食い止めるため日銀が金融緩和を行ない、株価や地価がみるみる急上昇した。だが、バブル崩壊後の経済は長期的に停滞し、日本は「失われた20年」を過ごした。「2017年バブル」にリスクはないのか。
注意すべきは、今回のバブルは株式市場の上昇が大半を占めることだと闇株新聞の主宰者A氏は指摘する。
「バブルには良い面と悪い面があるが、今年のバブルは株を持っていれば潤います。株やFXの銘柄をきちんと選べば安定して儲けることも可能です。株式市場が上げ相場なので、国としては年金の資産を増やすチャンスがあります。
一方、今回は1980年代と違って設備投資などに資金が回らないため、かつて銀座の土地が坪1億円以上になったように土地や資源価格が上がるとは考えにくい。
経済はインフレ傾向になるが、生産性が低い日本企業では株価の上昇が一般社員の給料に還元されず、物価が上がるのに給料は目減りするリスクがあります」
※週刊ポスト2017年1月27日号