3月開催の野球の国別世界一決定戦・WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、小久保裕紀・監督率いる侍ジャパンが「世界一奪還」に挑む。最強オーダーを組むためのメンバー選考が進む中、現役最年長メジャーリーガー、イチロー(43、マーリンズ)の動向に注目が集まっている。しかし、すでに選ばれている顔ぶれが充実しているため、イチローといえどスタメン出場も難しそうだ。辛口評論で知られる江本孟紀氏は、言葉を選びながらこういう。
「イチローが代表に選ばれたら、試合に出る、出ないでなく、その存在感だけで戦力になるのは間違いありません。ただ、イチローの今の実力からすれば間違いなく代打や代走、守備固め要員にしなくてはいけないでしょうね。そうなると、首脳陣は起用法についてイチロー本人の了承を取った上で、代表に呼ぶかたちにすべきでしょう。そうしないと、あとで厄介な事態になりますよ」
メジャー3000本安打のイチローが“代打の切り札”として控えていれば、相手投手へのプレッシャーにもなろう。ただ、扱いを間違えると代表チームの空中分解にもつながりかねないのだ。
江本氏が続ける。
「実際、イチローが代表入りしたらベンチで横に誰を座らせるか? それだけでも首脳陣は頭が痛いはずですよ。放っておけば若手から気軽に話しかけたりはできないので、イチローが孤立しているように見えてしまう。
そんな事態を防ぐには川崎宗則(35、カブスとマイナー契約)も一緒に呼んで隣に座らせるしかないでしょう。それならベンチのムードは盛り上がりそうですが、“イチロー効果”のために貴重な選手枠を2つも使ってしまうのが正しい判断といえるのかどうか」
※週刊ポスト2017年1月27日号