ライフ

93歳現役女医「医師を辞めようと思ったことはない」

医療法人畑医院院長・畑靖子氏

 増加する高齢者の健康面をサポートするため、自身も高齢でありながら活躍する医師たちがいる。御歳93歳の医療法人畑医院院長・畑靖子氏は、今も院長を務める埼玉県上尾市の病院に出勤し、毎日30人以上の患者を診ているという。80代後半で骨折したこともあったが、「医師を辞めようと思ったことはない」と話す。

 * * *
 6年前の東日本大震災の時、病院にいた患者さんを避難させようとして、「庭に出てください」と誘導していたら、自分が転んで大腿骨を骨折し、入院することになってしまいました。両脚とも人工骨頭を入れ、今も杖を突きながら生活しています。それでも医者を辞めるということはちっとも考えませんでしたね。こうして働いていることがこの年齢まで過ごせた唯一の健康法なのですから。

 ただ重い病気を患って入院することになれば、その時は60年以上働いてきたこの病院を閉めるしかありません。世の中、思い通りにはいきませんし、なるようにしかならないので、それはそれでいいかなと考えています。

 自分の死に関しても、これといった心構えはありません。「断捨離する」といって、お皿とお茶碗とお箸だけを残して後は処分してしまった人もいますが、私は「不要不急」の、いつ要るのかわからないようなモノに囲まれて生活しています。

 私が死んだ後は後始末が大変だろうと思いますけど、後始末というのは、遺された人が亡くなった人の思い出をひとつひとつ整理していくことで片づいていくものだと思うので、「遺すのもいいかな」と思って贅沢をさせていただいています。

 人間は神の摂理によって生きているものなので、死に方も選びようがありません。ただ、「自然死」が人間にとっての理想だとは思っています。一昨年の夏に先輩2人と同期1人を亡くしましたが、みなさん今際の際に「苦しいですか」と聞くと「苦しくないわ」といいますし、「眠いの」と聞くと「眠たくないわ」とおっしゃっていました。

 そして亡くなる数分前までおしゃべりをして、ゆったりと微笑ましい表情を浮かべて逝かれました。自然死というのは、人間に与えられた本当に素晴らしいものだと実感しています。私も先輩方のように、安らかな気持ちで逝きたいですね。

※週刊ポスト2017年1月27日号

トピックス

現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン