昨年10月から6戦で優勝4回という驚異的な強さを見せ、世界ランキング6位の松山英樹(24)が今年の初戦「SBSチャンピオンズ」で2位に入った。
1月6~8日に行なわれた同大会は昨年のトーナメント優勝者だけが出場できる大会である。そこで2位に入った松山には、「今季こそはついにマスターズ制覇だ」というファンの期待が集まっている。
しかし、今季初戦の「2位」については“内容がよくない”と評する専門家が少なくないのだ。ゴルフジャーナリスト・菅野徳雄氏が話す。
「『SBSチャンピオンズ』の最終日、松山はトップから2打差でスタート。一時は5打差にまで広がったが、14番ミドルのチップインイーグルで3打差に縮め、15番では首位の(ジャスティン・)トーマスが池ポチャ。ボギー以下が確実の場面で、松山は3メートルのバーディパットを決めることができなかった。1打差になった16番でも3メートルのバーディパットを外し、勝負どころの17番で3パット。トーマスがバーディで再び3打差に。ここで勝負があった。2位という結果は立派ですが、パットをあと1インチのところで外し続けた印象は強い」
メジャー制覇を目標に掲げる松山にとって、課題が浮き彫りになる試合だったと語るのは、プロゴルファーの沼沢聖一氏だ。
「この初戦は今シーズンを占う試合でしたが、松山のあと一歩のところでの忍耐力不足が見えた。米ツアーでは常に強い選手と戦うことになるので、ミスをしても粘って相手にプレッシャーをかけ続けないと特に大きな試合では勝てない。
今回も最終日に15番、16番で3メートルのバーディが取れず、気落ちして17番で3パットになった。勝てた試合を簡単に落としたという印象です。これからトーマスとは何度も対戦することになるが、その相手に“松山は終盤で崩れる”“簡単にあきらめる”というイメージを与えたことも問題です」
メジャー大会の最終日の優勝争いとなれば、その重圧は他の大会の比ではない。そこで「勝ち切る力」こそ、松山に残された唯一の課題なのだろう。
※週刊ポスト2017年1月27日号