アイドル写真集のコレクターなら知らぬ者はいない伝説の古書店・荒魂書店(あらたましょてん)が東京・神田神保町にある。古書市場でもめったにお目にかかれない写真集が並ぶ店内は、まさに宝の山。「写真集の聖地」の秘密に迫った。
昭和50年代のトップアイドルである榊原郁恵や河合奈保子の写真集はなぜ高くなるのか。3代目店長・鎌田俊一氏(41)が解説する。
「当時、アイドルファンの中心は10代でした。少ないお小遣いから何冊も買えないため、刷り部数もさほど多くなかった。当時購入できず大人になったファンが今、買い求めにきますね。河合さんの写真集は雑誌『近代映画』の別冊としてパート8まで出版されていますが、パート3は部数が少ない。その割に、水着が10ページ以上載っているので、お客さんから問い合わせが多い作品です」
高額写真集ランキングの中で異彩を放っているのが、3位の山本みどり『山本みどり写真集』だ。『三枝の愛ラブ!爆笑クリニック』の司会や時代劇などで活躍したが、ランキングした他タレントと比べると知名度は低い。
「1990年代、ZARDやWANDSなどを輩出し、音楽業界に旋風を巻き起こしたビーイングの出版部門の設立記念第1弾として発売。あまり流通しておらず、ヌード写真もあるため高値です」(同)
最後のページには、ビーイング創業者である長戸大幸氏がコメントを寄せるレアな一品だ。2位(蒲池幸子=坂井泉水の『NOCTURNE』19万円)に10万円以上の差をつけて断トツ1位の朝倉陽子(『BUST,Oh!』30万円)はそれ以上の希少性を持つ。1987年のカネボウ水着キャンペーンガールに選出され、翌年に茂野幸子から改名。B92・W63・H92のナイスバディが評判となり、1988年9月14日にワニマガジン社からヌード写真集が出版される予定だったが……。
「発売前に『スコラ』に数カット掲載されたのですが、結局お蔵入りになった幻の1冊。手に入れた時、本当に存在したのか……と感慨深くなりました」(同)
タレントと写真集におけるドラマが深ければ深いほど、価値は高まる。
※週刊ポスト2017年1月27日号