愛知県に住む11才の女の子が書いた作文が話題を呼んでいる。1月6日付の中日新聞「くらしの作文」欄に掲載された「私たち。とてもめでたい」と題された文章には、祖母、母親と親子3代にわたって1冊の本を読み、一緒に楽しむ家族の光景が綴られていた。
〈おばあちゃんが、ゲラゲラ笑いころげながら本を読んでいました。〉に始まり、〈私に本を貸してくれたおばあちゃんは今、七十歳です。愛子さんのように、九十歳を過ぎても、いつまでも本をゲラゲラ笑って読める元気なおばあちゃんでいてほしいと思います。〉と締められている。
彼女が取り上げた本は、93才の佐藤愛子さんが書いた『九十歳。何がめでたい』。昨年8月の刊行以来、5か月あまりで46万部を突破したベストセラーだ。精文館書店の西田豊さんはこう語る。
「作文を読んで最初に思ったのは、11才とは思えないくらい上手に書いたなあということ。しかもこの本はご年配の読者が多い本ですから、そんな小さな子が面白いと思ったことに、とても驚きました」
書店には、この作文を読んで本書を求める人が殺到しているという。その売れ行きは、作文掲載以前の実に5倍というから驚くばかり。書店では〈新聞に紹介された小学生の作文が大反響!! そこには身近な『本』のある暮らしがありました〉などの言葉とともに、彼女の作文を店頭に飾っている。
そうした反響を恥ずかしながらもうれしく見つめる作文の書き手、小学5年生の竹下詠乃(うたの)ちゃんは、両親と祖母の家族4人で住んでいた。
詠乃ちゃんが本書を手にしたきっかけは、祖母・長谷川喜代子さん(70才)の、いつになく大きな笑い声だった。