ビジネス

三橋貴明氏 「少子高齢化は日本経済を救う要素になる」

経済評論家の三橋貴明氏

 世界がナショナリズムに傾く中、労働力のコストが高く資源がない日本は経済的には不利に思える。しかし経済評論家の三橋貴明氏は、「日本こそが次の経済的覇権を握る」と予測する。

 * * *
 少子高齢化という問題を抱える日本では、人手不足が深刻化していく。

 若年層失業率を見ると、他国は軒並み10%以上の中、日本は5%台と主要国の中では最も低い。日本の技術力から考えれば、すでに始まっている人手不足は、外国人移民を受け入れなくても、生産性の向上でカバーできる。

 それどころか、人手不足を生産性向上でカバーできた暁には、かつての高度経済成長期と同じように、日本だけが経済成長の黄金循環に入ることが可能になる。

 人手不足を解消するために生産性向上が進む。生産性向上によって労働者の実質賃金が上昇する。賃金上昇により消費が拡大し、増産のためにまた求人倍率が上がるという経済成長の黄金循環が始まる。

 若年層失業率を見る限り、日本以外の国々はそうしたビジョンを描くことが難しい。

 とはいえ、日本以外の国々も将来的に人手不足になって生産性の向上が必要になる。その時に日本は、ドローンやパワードスーツをはじめ、それまでに培った生産性向上のための技術や製品を諸外国に高い値段で売ることが可能になる。少子高齢化は、日本経済を救う要素なのだ。

 これまでに挙げたような政策を実行すれば、生産性向上効果が一気に花開き、国民が豊かになる経済が取り戻せる。問題は、現在の安倍政権がそれとは真逆の政策を行っていることだ。

 しかし、世界で多くの「まさか」の事態が起きている中で、政権がこれまでの政策から大きく宗旨替えすることは大いにあり得る。

 日本は「内向き」、「ガラパゴス」だと誹りを受けたとしても、「ガラパゴス化のどこが悪い」と開き直ればいい。

 安倍政権が政策を真逆に舵を切れば、2017年の日本は経済的覇者の道を歩む。そうなれば実質経済成長率は3年以内に、少なくとも現在の世界平均の倍、6%成長が達成できるはずだ。

●みつはし・たかあき/1969年熊本県生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)経済学部卒業。2008年に中小企業診断士として独立。近著に『2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本』(徳間書店)など、著書多数。

※SAPIO2017年2月号

関連記事

トピックス

会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットの幸せな日々》小室眞子さんは「コーヒー1杯470円」“インスタ映え”カフェでマカロンをたびたび購入 “小室圭さんの年収4000万円”でも堅実なライフスタイル
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
常盤貴子が明かす「芝居」と「暮らし」の幸福
【常盤貴子インタビュー】50代のテーマは「即興力」 心の声に正直に、お芝居でも日々の暮らしでも軽やかに生きる自分でありたい
週刊ポスト
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
ホストにハマったAさんが告白する“1000万円シャンパンタワーの悪夢”「ホテルの部屋で殴る蹴るに加え、首を絞められ、髪の毛を抜かれ…」《深刻化する売掛トラブル》
NEWSポストセブン
西武・源田壮亮の不倫騒動から5カ月(左・時事通信フォト、右・Instagramより)
《西武源田と銀座クラブ女性の不倫報道から5か月》SNSが完全停止、妻・衛藤美彩が下していた決断…ベルーナドームで起きていた異変
NEWSポストセブン
大谷夫妻の第1子誕生から1ヶ月(AFP=時事)
《母乳かミルクか論争》大谷翔平の妻・真美子さんが直面か 日本よりも過敏なロスの根強い“母乳信仰”
NEWSポストセブン
麻薬の「運び屋」として利用されていたネコが保護された(時事通信フォト)
“麻薬を運ぶネコ” 刑務所の塀の上で保護 胴体にマリファナとコカインが巻きつけられ…囚人に“差し入れ”するところだった《中米・コスタリカ》
NEWSポストセブン
ホストクラブで“色恋営業”にハマってしまったと打ち明ける被害女性のAさん(写真はAさん提供)
〈ちゅーしたら魔法かかるかも?〉被害女性が告白する有名ホストクラブの“恐ろしい色恋営業”【行政処分の対象となった悪質ホストの手練手管とは】
NEWSポストセブン
公務のたびにファッションが注目される雅子さま(撮影/JMPA)
《ジャケットから着物まで》皇后雅子さまのすべての装いに“雅子さまらしさ“がある理由  「ブルー」や小物使い、パンツルックに見るファッションセンス
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん(2025年5月)
《英才教育》小室眞子さんと小室圭さん、コネチカット州背景に“2人だけの力で”子どもを育てる覚悟
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
【ステーキの焼き方に一家言】産後の小室眞子さんを支えるパパ・小室圭さんの“自慢の手料理”とは 「20年以上お弁当手作り」母・佳代さんの“食育”の影響
NEWSポストセブン