10代で北京大学に飛び級入学し「神童」と呼ばれ、いまや習近平中国主席の懐刀である李書磊・中国共産党北京市委員会中央規律検査委員会書記が1月初旬に行なわれる中央規律検査委の中央委員総会で、同委副書記に昇格し、同委ナンバー2に就任したことが分かった。香港の親中国系紙「大公報」が北京発で報じた。
総会では、習氏の肝いりで、汚職の監視や摘発などを強化するため、分散していた汚職を摘発する部署を統合し、強い権限を持たせた「国家監察委員会」の設置を決めたが、李氏は今後、新設の国家監察委の運営に携わるとみられる。
李氏は14歳で北京大に入学し、24歳で同大大学院博士課程を修了。党の高級幹部を養成する中央党校で訓練部主任や教務部主任など同校の要職を歴任した。
その後、2007年10月に党政治局常務委員に昇格し、中央党校校長に就任した習氏の専属スピーチライターになり、翌年末には副校長に昇格している。
この間、西安市党委副書記として地方幹部を経験。2014年初めには福建省党委常務委員と省党委宣伝部長を兼務。2015年には北京に戻り北京市規律検査委書記に就任しているが、そのわずか1年余りで、中央規律検査委の副書記という閣僚級のポストに就いたことになる。
とくに、中央規律検査委は習氏が最も力を入れている汚職摘発部門であり、そのトップには習氏が最も信頼する党最高幹部の一人、王岐山・党政治局常務委員が就いている最重要部門。そのナンバー2に今年54歳の李氏が抜擢されたことで、李氏も王氏同様、習氏の信頼が厚いのは、これまでの実績から間違いない。
中国では昨年だけで41万人もの共産党員が規律違反で処分されているが、今年は秋に最高指導部人事がほぼ一新される第19回党大会が開催される。習氏は国家監察委を創設することで、今後も反腐敗運動をさらに強化。この裏には自身の政治基盤の安定を図る狙いがあるのは明らか。
「このような重要局面での李氏の同委副書記登用で、李氏の党政治局委入りはほぼ確実」と米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」は予想している。