「私には友達がいない」――そう話すのは、作家の橋田壽賀子さん(91才)。本誌・女性セブンでもお伝えしてきたが、夫と死に別れ、子供も親戚もいない橋田さんは安楽死を熱望している。多くの同級生はすでに鬼籍に入り、今や心を残したり、残されたりする友達もいないから、認知症になったら安楽死で逝きたいというのだ。
「だからタモリさん(71才)がおっしゃることはよくわかるんです。もう友達はいりません」
橋田さんが賛同を示したのは、タモリの『SMAP×SMAP』(フジテレビ系。12月19日放送)での発言だ。
「友達なんかいらないって。(だから)どんどん友達減らしていってるの。切ってくの」
メンバーを前にそう淡々と話したタモリに、「救われた」「本当にわかる。友達は少なくていい」と、共感の声が広がっている。
「“友達を切る”って言葉には、ぼくなんかはドキッとしてしまうんです」
そう話すのは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の前野隆司さん。前野さんは脳・ロボット学者として、認知科学や心理学を活用して人間の幸福のメカニズムを研究している。それによれば、友達の数が多い人ほど幸せということがわかっているという。
「ここでいう友達は、“多様である”ことが条件。職業、年齢、性格、国籍…自分とは違う種類の友達を持っている人の方が、そうでない人よりも幸せということがわかりました。いつも同じ人とつるんで過干渉になっていくよりも、たまに会うくらいの友達がたくさんいた方がいいということですね」
女性セブンが行った男女300人緊急アンケートで、不要な友達との関係を切るかどうかについて尋ねたところ、賛成はわずか17%だった。
50才の主婦・田辺慶子さん(仮名)も、ため息交じりに「切りたくても切れない」と言う。
「高校の同級生A子とは、姉妹って呼ばれるほど仲がよくて、結婚後も家族ぐるみでつきあっていたんです。それが子供の大学受験を機に変わってしまいました。わが家の長女は奇跡的に現役で第一志望の大学に合格したけど、A子の三男は優秀だったのに不合格で…。そこからですね。みんなで集まった時とか、まるで私が存在してないみたいに、聞こえないふり、見ないふりをされるようになって。でも、子供も夫も相変わらず仲がいいから、関係を絶ちたくてもそうできないんです…」