「われが亀の手足となる。亀の代わりにわれが馬に乗り、村々を回る!」――武士になるには心身が弱い亀之丞に、幼なじみで許嫁の「おとわ」が涙ながらに訴えかける――NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の初回(1月8日放送)のクライマックスだ。後に井伊直虎(柴咲コウ・35才)へと成長する「おとわ」を演じるのは、子役の新井美羽ちゃん(10才)。
岡本幸江チーフプロデューサーが言う。
「おとわ役を決めるためにオーディションを行いました。最終審査の課題は、『われの夫はできそこないではない!』というセリフを泣きながら言うことだったのですが、美羽ちゃんの演技は圧倒的。審査員をしたスタッフは、不覚にもみんな涙目になるほどで、満場一致で美羽ちゃんに決まりました」
4週連続で主人公の幼少期を描くのは、近年の大河では異例のこと。子役がメーンで登場し続ける展開に不安もあったというが、圧巻の演技に、初回放送時には「この子は誰?」と美羽ちゃんのホームページにアクセスが殺到し、サーバーがダウンしたほどだ。脚本家の森下佳子さんもこう舌を巻く。
「リズム感があるというのか、セリフのテンポが抜群にいい。『風邪なんかひいたことな~い』というなんてことない一言でも、彼女のテンポだと引き込まれてしまう。
それに、表情の切り替えの速さがずば抜けているんです。さっきまで泣いていたのに、もう笑っていたり。“今泣いたカラスがもう笑う”というのが即座にできる。これはすごい技だと思います」
2才の時から活動し、ドラマデビューは5才の時で、『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)。6才では『みいつけた!』(NHK Eテレ)にも出演。小さな子のママならばピンとくるはずだが、オフロスキーの後ろで踊っていた、あの子が美羽ちゃんだ。
残る出演はあと2話。彼女の百面相の演技に、あと何回泣いてしまうだろうか。
※女性セブン2017年2月2日号