日本では就任間もないトランプ政権の動向が憂慮されているが、ワシントンの関心は“その先”に移っている。「トランプ大統領は1年で消えるから、今からトランプ後を見据えるべきだ」という意見が、真顔で交わされているのだ。
大統領選中から、そして当選後にも暗殺計画が取り沙汰され、CNNやニューヨーク.タイムズなど「反トランプメディア」によるスキャンダル報道で辞任に追い込まれる可能性も指摘されてきたが、「最有力シナリオ」は別にある。米在住ジャーナリストの高濱賛氏は言う。
「ワシントンの政界関係者や政治記者たちはもっぱら『大統領になることだけが目的だったから、あとはすぐに放り出すのではないか』と噂しています。元国務省高官のドワイト・レイク氏が『トランプとトランプが選んだ閣僚、補佐官では外交安全保障政策は空中分解してしまう。もって1年だ』と言い切ったのに対し、そうなればトランプはあっさり辞めると言い出すはずだという声が共和党内からも上がっているのです。
トランプ氏は昨年、一部記者に『俺が大統領になったら実際の内政外交は副大統領に任せる』と語っていたと報じられたことがあります。大統領選というゲームに勝ちたかっただけで、その先のことなどどうでもいいと考えているフシさえあります」
トランプ氏が大統領選に勝ちたがった理由として指摘されているのが、前任者・オバマ氏への“復讐”である。因縁は8年前のオバマ大統領就任時にさかのぼる。
当時すでに大統領選出馬を画策していたトランプ氏はオバマ氏が大統領になって以降、「オバマはアフリカ生まれで米市民ではない」「出生証明書を見せてみろ」と挑発。オバマ氏はそれを受けて2011年4月に出生証明書を公開し、その直後にワシントンのホテルで開かれた夕食会で、その場に居合わせたトランプ氏を大いに茶化したという。