箱根駅伝は王者・青学大の3連覇で幕を下ろした。大学駅伝シーズンを通して、本誌・週刊ポストで最新情報をレポートしてきた陸上長距離専門ウェブメディア「EKIDEN NEWS」主宰者の“博士”こと西本武司氏と、マラソン解説で数々のトリビア情報を紹介する元マラソン選手の増田明美氏(スポーツジャーナリスト)は、どこに注目したのか? 競技現場での情報収集を何より大切にする2人の対談は、思わぬ盛り上がりを見せた。
西本:増田さんの解説は選手をディスったりしないところがいいですよね。
増田:選手の後ろには家族がいますから。現役の頃、中継で「増田さんの顔色が悪いですね」なんて解説されると、テレビを見ていたお祖母ちゃんが心配して、ずうっと仏壇を拝んでいた。だからテレビ解説では選手の家族ががっかりしたり、心配したりするようなことは言わないと決めています。
西本:なるほど。
増田:ただね、元旦のニューイヤー(NY)駅伝の解説席で宗茂さん(元旭化成監督)と一緒だったんです。旭化成がトップだったので、機嫌良く市田孝・宏兄弟をすごく褒めるのよ。「彼らは素晴らしい。性格もいいし、兄弟の仲もいい」って。旭化成には、村山謙太・紘太兄弟もいるじゃない? 私は彼らの大ファンだから、「村山兄弟も仲がいいでしょ?」って聞いたら、宗さんが「あいつらはそうでもない」って(笑い)。
西本:“延岡組”の市田兄弟のほうがかわいいんだ。
増田:同じ旭化成の部員でも、宮崎・延岡で練習をしている市田兄弟のことはいつも見ているでしょうから。東京で練習する村山兄弟よりも気持ちが入るんでしょうね。でも、村山さんの家族が聞いたら絶対ショックだと思う。レース中ずっとそれが気になっちゃって。