年明け早々、“小池劇場”が過熱している。1月14日、豊洲市場敷地内の地下水から環境基準を上回る有害物質が検出されると、小池百合子・東京都知事は「豊洲問題は夏の都議選の争点」と断言した。都政記者がいう。
「2014年に始まった調査では第1~7回まで有害物質は基準値を下回っていた。ところが昨年9月の8回目は基準値の2倍弱、今回は最大79倍の数値に一気に上昇。『小池都政以前の調査に問題があったのでは』との疑いまで急浮上しています」
この新たな“ブラックボックス”に何らかの疑惑が深まれば“都議会のドン”こと内田茂・自民党都連前幹事長との決戦である夏の都議選で、小池氏は追い風を呼び込むことができる。
選挙戦では独自に30~40人を擁立する方針の小池氏だが、主宰する「希望の塾」で実施した選定試験には1000人以上が参加。審査には慶應大学教授の上山信一氏ら都の顧問があたる強固な布陣が敷かれている。
これに対し、都議会自民党からは悲鳴が上がっている。
「都顧問は役所の政策ごとの詳細な支出の内訳など機密情報にアクセスできる。彼らが特定政党に肩入れしたら、候補者育成や公約作成もその政党に有利になる。税金で雇われている有識者なのに、公正じゃない」(自民党都連関係者)
そんな批判をかき消してしまう勢いの小池氏。その舌鋒は政界の重鎮たちを前にしてもとにかく鋭い。
内田氏との代理戦争となる千代田区長選(2月5日投開票)に、都議会自民党陣営が与謝野馨・元財務相の甥、与謝野信氏を擁立すると、野党時代に自民党を離党して民主党政権の大臣ポストに就いた馨氏へのあてつけで「最後はどこの政党でしたかねえ。甘党?」(13日)と皮肉った。
五輪の費用負担で対立する組織委員会の森喜朗・会長には、「文句ばっかり」「『器の違い』を感じていただきたい」(16日)と強烈な“口撃”を浴びせた。
内田氏77歳、与謝野氏78歳、森氏79歳。とにかく“高齢政治家”がターゲットに見える。コラムニストの石原壮一郎氏が解説する。
「森さんや内田さんへの反感は、小池知事が昨年7月に当選して最初に都政ブラックボックス批判をブチ上げた頃より確実に強くなっている。対立構図が固定化して時間が経つほど高齢の重鎮政治家側に“あれだけ批判されたのに、まだ利権にしがみついている”というイメージが強くなる。小池さんはそれがわかっていて、“このあたりで口撃をすれば、さらに支持が集まる”と計算しているのでは」
進撃はいつまで続くか。
※週刊ポスト2017年2月3日号