薬を処方することが“商売”になる医者や製薬会社は、「薬の飲み方」は熱心に説明しても、「やめ方」を語りたがらない。
しかし、通院すればするほど増えていく薬を「減らせるものなら減らしたい」と願う患者は少なくない。そこで、高齢者医療の権威である長尾クリニック院長の長尾和宏氏が、正しい「薬のやめどき」を指南する。
「現代医療は治療を“始める”ことしか考えておらず、“やめる”ことを想定していません。しかし、薬にはメリットとデメリットがあり、当初はメリットが上回っていても、ある時点からデメリットのほうが大きくなることがある。死ぬまで治療を続けることが無条件に善とは限りません。ですから、薬にも“やめどき”があることを知ってもらいたい」(以下「」内は長尾氏)
長尾氏はこのような考えから、薬のやめどきを判断するベースとして、以下の7原則を提唱している。
1:自分で勝手にやめない。
2:納得するまで医師と相談する。
3:副作用や不具合が出たらすぐに医師に相談する。
4:できるだけ“かかりつけ医”に一元化する。
5:まずは6種類以上の多剤投薬から脱却する。
6:いきなりではなく、徐々に減らしながらやめる。
7:やめて不都合が起きれば、主治医に相談のうえいったん元に戻す。