「おんな社長」の誕生間近?(JALのHPより)
NHK大河『おんな城主 直虎』が好調な滑り出しを見せるなか、今年は日本の大企業にも、いよいよ“おんな社長”が続々と誕生することになるかもしれない。
一人目の候補は2010年の経営破綻後、着々と再建を進めてきたJALの代表取締役専務執行役員・大川順子氏(62)だ。大川氏は1977年にキャビンアテンダントとして入社。破綻翌年にはそれまで男性社員の指定席だった客室本部長に抜擢され、乗務員たちの意識改革を主導した実績を持つ。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。
「破綻後、会長に就任した稲盛和夫氏によって登用された人材です。それまでのお役所体質だった社風のもとではあり得なかった抜擢で、“新生JAL”の象徴ともいえる経営幹部です」
現社長の植木義晴氏は1月には就任6年目に突入し、今年3月末には新規投資、新規路線開設への制限が解除される“節目”を迎えることから去就が注目されている。
「後継候補はすでに代表権のある藤田直志・副社長と大川氏の2人。新規投資への制約がなくなる本格的な再スタートを女性社長のもとで切れば、“JALは本当に生まれ変わった”という印象を持ってもらえる。大川氏を推す声は少なくない」(業界関係者)
そして、もう一人の“おんな社長”候補がカルビーの鎌田由美子・上級執行役員だ。
JR東日本の事業創造本部地域活性化部門部長だった鎌田氏はカルビーの松本晃会長にヘッドハンティングされ、2015年2月に入社。
「鎌田氏はJR時代に駅ナカのショッピングエリア・エキュートを大宮駅などで成功させるなど、やり手として知られていました」(関氏)
松本会長自身、カルビー創業家にヘッドハントされて同社トップになった経緯があるだけに「鎌田氏も社長候補として入社した」(同社関係者)とみられている。
両社の広報担当者は、社長交代の予定について「今のところそうした話はない」と口を揃える。上場企業の女性役員の割合は約3%(内閣府の調査、2016年)。社長については、全体の1%弱(商工リサーチ調べ)に過ぎず、特に歴史の長い大企業では“ガラスの天井”が分厚い。
何よりも、少子高齢化が進み労働力人口が減少の一途を辿るなかで、女性の社会進出は日本社会が抱える大きな課題だ。女性のリーダーが次々と誕生するようになって初めて、日本経済は本格的な上昇に向かえる。前出の2人を含め“おんな社長”が生まれることが、その先鞭となるはずだ。
※週刊ポスト2017年2月3日号