FA市場で他球団の主力選手を相次いで獲得し、大型トレード、新外国人獲得にも乗り出した読売巨人軍。今オフの補強で使った資金は30億円の大盤振る舞い。その大補強の末に、キャンプイン前からチーム内の不協和音が漏れ伝わってきた。そうしたなかで存在感が薄れているのが、就任2年目を迎えた高橋由伸監督である。
実は、かつて阿部慎之助(37)率いる「チーム阿部」と勢力拮抗していたのが「チーム・ヨシノブ」だった。
それが一昨年オフに電撃引退して監督に就任。すると、チーム・ヨシノブは“雲散霧消”した。常に行動を共にしていた隠善智也(32)は引退して球団広報に収まり、西武から出戻った脇谷亮太(35)は相川亮二(40)、山口俊(29、DeNAから)らのグループに合流。高橋監督の寵愛を受ける辻東倫(はるとも、22)はチーム・サカチョー(坂本勇人や長野久義の派閥)に組み込まれた。
「今も高橋監督の子飼いとみられているのは中井大介(27)くらいでしょうか。その中井にしても、同じセカンドにドラ1で吉川尚輝(21)が入るなど定位置奪取には遠く、日ハムから吉川光夫(28)が加入したことによる玉突きで背番号も36から61に“格下げ”となりました」(担当記者)
若手がどのグループに参加するかは少なからぬ意味を持つ。
「若手からすればアピールの機会になるし、中心選手も若手からいかに慕われているかを示すチャンスになる。今回、阿部が小林(誠司、27)を徹底指導しているのも、後継正捕手を育てて優勝に導くことで、指導者としての評価を上げることが狙いでしょう。それはつまり、高橋監督の後任を目指すためのパフォーマンスと受け取れるわけです」(同前)
一方、関係者や大物OBの間では、高橋監督の後任に、阿部よりも松井秀喜氏を推す声が根強くある。
「ただ、入団以降ずっと“一匹狼”を貫いてきた松井本人にその気がないようです。それが残念」(巨人OB)
※週刊ポスト2017年2月3日号