年金受給額が減ってきているなか、老後資金の捻出手段として人気があるのが「毎月分配型投信」だ。その理由は年金に加えて、毎月決まった分配金を得られるからだが、三菱アセット・ブレインズの調べによれば、2016年はこのタイプの投資信託の3分の1が減配した(1400本中463本)。保有する毎月分配型投信を、手放すか否か。その判断基準となるポイントを紹介する。
■「基準価額5000円割れ」は注意せよ
投資信託一口あたりの値段を基準価額という。投資信託は基本的に1万円から運用を開始するので、ここでは基準価額1万円のファンドを想定する。
「基準価額は毎営業日ごとに変動します。仮に1万円で買った後に、基準価額が5000円を割り込んだら、無理な分配の結果と判断できます。2000~3000円まで割り込むと元本が相当分取り崩されて、1万円に戻すことは不可能に近いでしょう。トランプ相場のようなサプライズで奇跡的に値が戻ることもありますが、基本的にはそのまま下落して破綻に近い状態になる可能性がある」(楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏)
■「トータルリターン」のマイナスが半年続くようなら要検討
「トータルリターン」とは、投資信託の初回購入時から追加購入、一部解約、分配金の受け取りなどすべてを反映した現在の合計損益のこと。基準価額の増減に分配金や利払いなどを加えた額を投資金額の購入コストで割って算出し、このパーセンテージが実質的な利回りになる。QUICK資産運用研究所の清家武氏が解説する。
「現在は『トータルリターン通知制度』があり、証券会社や銀行から通知が郵送されます。放っておかずに、しっかり中身をチェックしましょう。もしトータルでマイナスになっている状態が続くようなら、自分の預金や今後の生活を鑑みた上で、売却するかどうかの判断が必要です」
ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏はその目安を「半年」だという。
※週刊ポスト2017年2月3日号