優勝に沸いた球団が翌年、最下位に沈む──プロ野球界では珍しい話ではない。
「日本ハムは栗山英樹・監督の就任1年目(2012年)にリーグ制覇を果たしますが、翌2013年は最下位。2013年に星野(仙一)監督のもとで日本一に輝いた楽天も翌2014年は最下位でした。日ハムは糸井嘉男(35)ら主力の流出による得点力ダウン、楽天は24勝0敗という獅子奮迅の活躍を見せた田中将大(28)がヤンキースに移籍したのが原因でした」(スポーツ紙デスク)
昨シーズン、25年ぶりのリーグ優勝に沸いた緒方孝市監督率いる広島では、大黒柱・黒田博樹が引退。阪神、ロッテなどで活躍した評論家の遠山奬志氏は、今季の苦戦は必至と指摘する。
「黒田の存在は本当に大きかった。黒田が登板した150イニングを誰で埋めるかで緒方監督は頭が痛いはず。去年、マエケン(前田健太)の抜けた穴を埋めた野村祐輔(27)にこれ以上は期待できない。大瀬良大地(25)や福井優也(28)の奮起が必要になるが、とにかく未知数。他球団がエース級をぶつけて潰しにくることを考えるとAクラス入りはまず無理でしょう」
と手厳しい。
加えて、球界関係者は“久しぶりの優勝が鬼門”との見方で一致する。楽天は球団創設9年目の初優勝からの最下位転落。「主力選手がオフに取材やイベントで引っ張りだこになった経験がなく、十分に休養できない」(前出のスポーツ紙デスク)のが理由とみられている。さらに、3月の野球世界一決定戦・WBCに菊池涼介(26)、鈴木誠也(22)という主力野手が出場するのも不安材料だ。
「休養不足の上に早くから調子を上げるのだから、シーズン中のケガや不振につながりかねない。他のセ球団が補強に走った中、広島には戦力の積み上げもない。故障者が出れば“優勝翌年の最下位”がますます現実味を帯びてくる」(同前)
緒方監督にとっては、開幕前から心配事だらけのシーズンになりそうだが唯一の光明は野手の主力がほとんど20代と若いこと。
「ポジション争いをうまく煽ることで、チームに去年以上の活力をもたらせる可能性はある」(球団関係者)
結果はどう出るか。
※週刊ポスト2017年2月3日号