ビジネス

日本のギター国内シェア半分占める長野県、その生産現場

厳しく品質をチェックするモーリスのスタッフ

 乾燥した木の香りが漂う工場。職人たちは木材を旋盤で削り、ギターのボディやネックの形に手際良く仕上げていく。やすりで木を磨く、シュッ、シュッという摩擦音が心地よく建物の中にこだまする──。

 昨年のNHK大河ドラマ『真田丸』の舞台にもなった長野県が、実は日本のギター産業の中心であることをご存じだろうか。長野県内のエレキ・アコースティックギターの出荷額は26億8716万円(2012年・経済産業省「工業統計調査」)で全国1位。2位の静岡(約9億円)を大きく引き離し、46.7%と半数近い国内シェアを占めている。

 中でも松本市は、フジゲンやモーリスといった、国内産エレキギターやアコースティックギターで名を馳せたメーカーが本社を置く。ギター工房も多く、松本で生まれたギターを愛用するプロのアーティストも多い。

「フォークブームの1970年代に、アリスの谷村新司さんや堀内孝雄さん、かまやつひろしさんらが使ってくださったことが、広く認知されるきっかけになりました」(モーリスギターを販売するモリダイラ楽器の鈴木剛氏)

「モーリス持てば、スーパースターも夢じゃない」のCMで知られるモーリス楽器は、国内産アコースティックギターのパイオニアだ。現在でもハンドメイドにこだわり、限られた職人が作るオーダーメイドギターは、高品質でありながら良心的な価格から、ファンの支持も高い。

「職人が作るギターは月に2~3本ほど。価格は40万円前後で、購入層は40代からシニアまで幅広くいらっしゃいます」(鈴木氏)

 同社の製品の中でも特に高い評価を受けているのが、「マスタールシアー」の称号を持つ森中巧氏の作品だ。デザインはもちろん全ての部品を自分で作り出して、組み立て・仕上げまで行なう。作品には細部にわたるまで、職人としての心配りが張り巡らされている。

「見た目が派手ならいいというわけではありません。音と弾きやすさ、トータルバランスの取れたものが良いギターだと思っています。アコースティックギターは一定のファンがいますので、需要は常にあります。現在もエレキではなく、アコースティックギターを主流としてこだわりを持って作っています」(森中氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
テレビの“朝の顔”だった(左から小倉智昭さん、みのもんた)
みのもんた「朝のライバル」小倉智昭さんへの思いを語る 「共演NGなんて思ったことない」「一度でいいから一緒に飲みたかった」
週刊ポスト
陛下と共に、三笠宮さまと百合子さまの俳句集を読まれた雅子さま。「お孫さんのことをお詠みになったのかしら、かわいらしい句ですね」と話された(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
【61才の誕生日の決意】皇后雅子さま、また1つ歳を重ねられて「これからも国民の皆様の幸せを祈りながら…」 陛下と微笑む姿
女性セブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン