ベテランにも若手にも、生え抜きにも新加入選手にも、それぞれの思惑がありそうなことが透けて見える、キャンプイン前のプロ野球・読売巨人軍の人脈図。巨大戦力に30億の大型補強組が加わったことで、どんどん複雑さを増している。それは、キャンプ前の自主トレで様々な派閥の存在が表面化したことにも表れている。代表的なのが坂本勇人(28)や長野久義(32)が所属する「チーム・サカチョー」や、阿部慎之介(37)と小林誠司(27)の捕手師弟コンビだ。
そんな中、5年15億円という大型契約を結んだ陽岱鋼(30、日ハムから)は、川崎市のジャイアンツ球場で新人と一緒に調整している。
「巨人の雰囲気に慣れたいというのが表向きの理由ですが、定位置を競い合う長野のいるグアムや亀井善行(34)のいる宮崎には行きにくいという事情もあるのでしょうか」(巨人OB)
巨人の今年の戦力について、辛口評論で知られる江本孟紀氏はこういう。
「FAで加わった陽がセンターに固定されるとなると、長野がライトに回り、残る外野はレフトだけ。そこを亀井(義行、35)、橋本到(26)、ギャレット(35)らが競い合う。内野手はもっと過酷で、ポジションが保証されているのは坂本(勇人、28)のショートだけ。
新加入の元楽天・マギー(34)がサードに入るとなれば、村田(修一、36)が居場所を失い、阿部のファーストも安泰ではなくなる。生え抜きの岡本和真(20)の出場機会も見えてこない。セカンドなんて、クルーズ(32)を筆頭に片岡治大(33)、脇谷(亮太、35)、中井(大介、27)、辻(東倫、22)、ドラ1の吉川(尚輝、21)。これじゃあ、みんなで一致団結して自主トレなんて気分にはならんのは当然でしょう」
高橋監督も派閥などないほうが思い切った采配を取れるのでは、という見方が当然ある。一方、“紳士”たる巨人のプレーヤーたちは、「いざシーズンが始まれば競争を糧に優勝に向けて団結するはず」(前出のOB)という声もある。
※週刊ポスト2017年2月3日号