年金受給額が減ってきているなか、資産運用は重要な老後資金の捻出手段になっている。中でも特に人気があるのが「毎月分配型投信」だ。その理由は年金に加えて、毎月決まった分配金を得られるからだが、減配するものも少なくない。保有する毎月分配型投信を、手放すか否か。その判断基準となるポイントを紹介する。
■純資産残高は10億円がボーダーライン
運用資産の市場規模を示す「純資産残高」は、ファンドの運用状況と売れ行きによって日々変動する。
「運用や販売状況が上向けば純資産残高が増える一方、資産評価額が下がったり、解約が増えれば純資産残高は減ります。減り続けると満足な運用ができなくなったり、満期を待たずに繰り上げ償還されることもある。純資産残高が減り続けて、10億円を下回ったらファンドの売却を考えたほうがいい」(楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏)
■「健全率」が50%を割ると危ない
「現在支払っている分配金をどれくらい運用益でまかなえているか」を示すのがファンドの「健全率」だ。
「ファンドの『当期の収益』を『当期の分配金』で割って算出します。これが50%を割り込むと元本取り崩しのリスクが増します」(ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)
算出するには運用報告書をチェックしよう。
■「分配余力」が60か月以下だと将来が危険
分配余力は、「現在の分配金をあと何か月出せるのか」を示す数値だ。「投信が保有する分配原資」を「1か月分の分配金」で割って算出する。
「長いほど好ましいが、60か月以上が安心の目安です。それを下回るようであれば、将来的なファンドの運用に不安が残ります」(深野氏)
※週刊ポスト2017年2月3日号