首都圏の新築マンションを中心に価格上昇を続けてきた不動産バブルが、ついに弾け出した──。
不動産経済研究所によれば、昨年、首都圏で供給された新築マンションは3万5772戸で、対前年比11.6%の減少となった。2000年には10万戸に届きそうな勢いだったことを考えると、市場はピーク時の3分の1まで縮小してしまった。
低迷の理由は何か。住宅ジャーナリストの山下和之氏が分析する。
「第一に価格が高くなりすぎたことが挙げられます。新築・中古マンション価格の年収倍率調査(東京カンテイ調べ)を見ると、7.66倍の全国平均に対し、首都圏は10.99倍、東京都に至っては11.30倍にもなっています。一般的に、マンション購入は年収の5、6倍までに抑えるべきといわれる中、これでは一般の会社員はとても手が出せません。
また、消費者からすれば、いま買い急ぐ必要がないという心理が働いていることも大きい。消費税は2019年10月まで上がりませんし、金利はまだまだ低い状態が続き、価格が上がりすぎているので、いずれ頭打ち、下落が想定される。だったら、しばらくは様子見でいいのではないかと考えている人が多いのだと思います」
マンションの買い控え傾向により、深刻なのが在庫だ。
首都圏では新築マンションの在庫が7000戸を超えてなお、じわじわと増加している。好調といわれる中古マンションも在庫が4万件を超え、2011年から2012年にかけて価格が下がり続けた状況に近づきつつあるという。
空き家が増えれば、当然ながら価格の下落や“投げ売り”が行われる可能性は高い。では、大暴落が始まる時期はいつか。前出の山下氏がいう。
「大きな社会、経済的な変化がなければ、今年いっぱいかけてマンション市場はピークアウトして、年末には本格的な下落が始まるでしょう。
ただし、トランプ相場、トランプバブルが弾けたら、春にも不動産市場に影響が出てくる可能性もあります。株価下落、円高シフトなどによって不透明感が強まり、春の賃上げも昨年並みを確保できなかったりすれば、価格下落は前倒しになるかもしれません」