年金受給額が減ってきているなか、資産運用は重要な老後資金の捻出手段になっている。中でも特に人気があるのが「毎月分配型投信」だが、このタイプの投信は投資対象や経済状況によっても大きく左右される。チェック項目を4つ紹介する。
■投資先が複雑な商品には要注意
複雑な仕組みがなく、投資資産だけで運用する「プレーンタイプ」はリスクが少ない。
「リーマン・ショック前の2008年までに発売された商品のほとんどはプレーンタイプ。ファンドの目論見書を見れば運用開始時期が確認できます。リーマン・ショック以降は高リスク投資先ばかりを複数選んでいる商品も少なくない。プロでもそんな商品の運用は複雑で手を出さない」(ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)
■ファンド名に「通貨選択」とあったら気をつけろ
複雑な仕組みの商品ほど総じてリスクは高くなるという。深野氏が続ける。
「特に注意すべきは商品名に『通貨選択』と入っているもの。例えば、米国の高利回り債券などへの投資に、米ドルをブラジル・レアルなど高金利通貨に交換する契約を組み合わせたものなど。通貨選択以外でも『先物』『オプション』などの用語が含まれていたらハイリスク商品と考えていいでしょう」(深野氏)
■米国が利上げを実施したら、「新興国」投資は注意
一時期は勢いがあり、関連ファンドが激増したBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国だが、現在は株、債券、通貨のいずれもリスクが高まっている。
「新興国はそもそも取引参加者が少なく、売りたいときに売れないリスクがあるほか、テロや災害などの突発的なアクシデントで急に閉鎖されることもある」(楽天証券経済研究所のファンドアナリスト・篠田尚子氏)
その際、注視すべきは「米国の金利」だ。
「米国の金利が上がると新興国へ投資していたマネーが米国に流れ、新興国市場が急速に冷え込む恐れがあります。今後、米国が利上げをしたら要注意です」(深野氏)
金利が上昇すると借り入れコストが上昇し、米リートへの投資も不利になりやすいとされるので気をつけたい。
■今年は「ヨーロッパ関連」も危ない
今年はオランダ総選挙、フランス大統領選、ドイツ総選挙などヨーロッパで大きな選挙が続く。
「選挙で反EU勢力が台頭したら保護主義への不安感から、ヨーロッパ経済が冷え込むリスクがある。選挙結果次第では、ヨーロッパ地域への投資を含む投資信託は減配リスクが高まります」(深野氏)
※週刊ポスト2017年2月3日号