中国では2016年、中国全土に683カ所あるゴルフ場すべてに当局の検査が入り、122カ所が経営禁止、496カ所が土地の不正利用によるゴルフコースの一部原状回復を命じられるなど、すべてのゴルフ場がなんらかの違法処分を受けていることが分かった。中国共産党機関紙「人民日報」が報じた。
中国共産党は昨年、約8800万人の党員を対象にした新倫理規定を発表し、ゴルフ場が腐敗の温床になるなどとして、実質的に党員のゴルフも禁止したが、さらに、ゴルフ場への立ち入り検査を厳しくして、経営禁止の処分を下している。これに対しては「ゴルフ場いじめだ」との声も出ている。
中国本土の30省・自治区・直轄市の1級行政区のうち、ゴルフ場がないのはチベット自治区だけだが、中国政府は2004年に農地の保全や水資源の確保などを目的に新たなゴルフコースの開発を禁止していた。しかし、実査には2014年末の時点でのゴルフ場の数は639件と、2004年の178件の3.6倍にも達しており、富裕層がゴルフ場を使って商談を行うなどの需要が高まるなか、政府の開発禁止令を無視した違法な開発が行われていた。
その後も規制が強化されていながら、昨年末時点で2014年末に比べて44カ所もゴルフ場が増えていることになる。
このため、政府は昨年、大規模な規制強化に乗り出し、ゴルフ場の土地利用の実態などを厳密に調査。この結果、違法な農耕地の使用、禁止されている地域での地下水くみ上げ、自然保護地域での開発などの理由で、122カ所のゴルフ場が経営禁止処分を受けた。このうち、地方政府による判断で11カ所が閉鎖されている。
さらに、18カ所が違法に使用していた土地の返還を求められ、47カ所が開発中止命令を受けた。
これについて、北京の邦人駐在員は「中国本土内のすべてのゴルフ場が法に抵触しているというのは、極めて異常だ。反腐敗運動を推進している習近平国家主席のゴルフ嫌いは有名だが、難癖をつけてのゴルフ場いじめとしか考えられない」と語っている。