国内

ポスト池田時代の創価学会 慶應の三田会に似た組織に

安保関連法の反対集会で掲げられた三色旗 共同通信社

 公称827万世帯を信者に抱える創価学会では、池田大作・名誉会長の「位置付け」に変化が見られる。今後、池田氏からの世代交代が生じた時、学会はどうなるのか、宗教学者の島田裕巳氏が解説する。

 * * *
 創価学会幹部を悩ませるのが、池田氏からの世代交代と時期の重なる学会員たちの高齢化だ。創価学会が爆発的に拡大した1960年代に入会した学会員は池田氏の活躍ぶりを直接知っているが、その子供以下の世代となるとよく知らない。教義や創価学会の辿ってきた歴史に対しても理解が薄いだろう。池田氏を崇拝対象にしても、政治的に組織の影響力を示せるかどうかは疑問が残る。

 また、学会員には創価学会を支持母体とする公明党の選挙を支える役割もあるが、若い世代には、憲法改正や安保法、原発再稼働などの政策で連立する自民党と歩み寄り続ける公明党に疑問を抱いている人も多い。

 池田氏はこうした学会員の気持ちを汲み取り、公明党にブレーキをかけて福祉政策に強い党を維持してきたが、世代交代後も公明党が自民党と同調するばかりなら、組織票に陰りが見えてくるかもしれない。

 こうした悩みを現上層部が抱えたまま、カリスマ不在で世代交代を迎えたとき、創価学会は大幅に縮小するという見方もあるが、私は少なくとも表面的には変わらないと考えている。

 世代交代後を担う若い世代は、組織への忠誠心は親世代ほどではなく、「ポスト池田」にもほとんど関心がないと思われるからだ。

 彼らはかつてほど布教活動や政治活動に入れ込んでいるわけではない。しかし一方で、「壮年部」「青年部」「婦人部」といった組織内部の結びつきは強く、その活動は宗教教団としての形を超えて「日常化」している。学会員同士の人間関係を“生活基盤”としたうえで、組織がどうあれ、自分自身がどう生きるかに重きを置くようになっているように見えるのだ。

 そのイメージは、慶應大学の同窓会「三田会」に近い。「三田会」もまた、他大学には類のない団結力を誇り、卒業後も塾員としてのアイデンティティを共有する基盤となっている。

※SAPIO2017年2月号

関連記事

トピックス

休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン