トップ棋士の一人である三浦弘行九段(42)による前代未聞の“カンニング疑惑”は、第三者委員会が「不正の証拠なし」の結論を下したことで、日本将棋連盟の谷川浩司会長(54)が辞任する事態に発展した。そうしたなかで、渦中の三浦九段の師匠が本誌・週刊ポストの直撃取材に答え、連盟執行部の対応を厳しく批判した──。
1月18日、会見を開いた谷川会長は、三浦九段のソフト不正使用疑惑を巡って「(対応に)不備があったことに大きな責任を感じている」と語り、島朗常務理事とともに辞任することを表明した。一方、三浦九段は2月13日に羽生善治三冠(46)との“復帰戦”が決まった。しかし、騒動はまだまだ収まりそうにない。
「今後は将棋連盟による(三浦九段への)賠償の話が出てくるでしょう。これは高いですよ。1億円でもおかしくない」
そう語るのは三浦九段の師匠である西村一義九段(75)だ。元将棋連盟専務理事でもある西村九段は、この問題が巨額の補償問題に発展すると断言した。
騒動の発端は昨年10月。三浦九段が対局中に離席し、その間にスマホで将棋ソフトを使っている疑いが、対局相手の指摘などによって浮上したことだった。三浦九段は棋界最高位・竜王戦への挑戦権を得ていたが、連盟は10月12日、挑戦者の変更を決定。三浦九段への年内出場停止処分を発表した。これに対し、三浦九段が反論文書を発表する騒動に発展していた。
疑惑の根拠となったのは、将棋ソフトと三浦九段の指し手の「一致率」だったが、将棋連盟に委嘱された第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)は、昨年12月26日に「不正行為をしたと認める証拠はない」との調査結果を公表した。
その結果を受けての谷川会長の辞任劇だったわけだが、西村九段は三浦九段の受けた“損害”への補償も必要だと力を込める。