ドナルド・トランプ米大統領が就任したのは1月20日の金曜日。その就任演説は、自国第一主義を強調する内容で、日本経済に影を落とすスタートとなった。
週明けの月曜日(1月23日)の夜、証券業界の関係者たちが集うバーでは就任後の初取引を終えて一息ついた証券マンたちが酒を酌み交わしていた。そんな彼らが、“乱高下”する相場への想いを川柳にしたためた──。
そのバーは、東京証券取引所のある兜町のほど近く、証券会社が密集する茅場町の一角にある。証券マンらが足繁く通う店は、その名も「ウォールストリート」。店内からは隅田川の支流が望め、ニューヨークのイーストリバーを連想させる。
この日の日経平均株価の終値は、1万8891円。20日の1万9137円から約250円の大幅下落となった。
「大幅安はトランプ就任演説から日本株への好材料が見当たらなかったことへの、失望感が要因」と話す証券営業マンはこんな句を詠んだ。
【日本株 結局 アメリカ・ファーストか】(個人顧客担当営業)
日本株は米国株の値動きとの連動が顕著だ。年初から日経平均はニューヨーク・ダウに翻弄され、連れ高、連れ安を繰り返している。トランプの就任会見では急落したが、今後はどうなるか。
【トランプの バブルに浮かれ ババを引く】(個人顧客営業担当者)
“トランプ相場”に期待して、多くの人が駆け込みで株を買った。23日の急落直後、証券会社には顧客からの問い合わせが相次いだことが透けて見える一句だ。
【メキシコの 壁より厚い? 2万円】(ディーリング担当者)
2万円を前に足踏みが続く日経平均。トランプ氏の「メキシコとの国境に壁を築く」発言があったが、ダウは一足先に2万ドルの壁を突破。後を追えるか?
【トランプが きっと買ってる アデランス】(法人営業担当者)
トランプ大統領が何度否定しても「かつら疑惑」はいまだ晴れないが、“関連銘柄”は堅調だ。カツラのトップメーカーアデランス株は米大統領選末期に上昇し、その後全体相場が下落した局面でも、値崩れしていない。これって、“トランプ効果”?
※週刊ポスト2017年2月10日号