もしも愛犬が妊娠したらどうすればいいのだろうか。愛犬家であっても意外と知らないのが、犬の出産事情だ。神奈川県在住の女性から、こんなお悩みが届いた。
「愛犬が妊娠しました。“犬は安産”といいますし、うちの子は病院が嫌いなので、自宅での出産を予定しています。出産に向けて準備するものや注意点、産後ケアなどについて教えてください」
(神奈川県・けいこ、63才・パート)
このお悩みに対して、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんが、アドバイスします。
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たしかに犬は、多産でおさんが軽いといわれ、安産の象徴にされていますが、実際の犬の出産にはさまざまな危険があり、必ずしも安産というわけではありません。ですから、専門機関以外での出産はおすすめできません。
とはいえ、自宅での出産がやむを得ない場合もあるでしょう。リスクがあることを念頭に、必ずかかりつけの医師のアドバイスを受けながら、万全の準備で臨んでください。
◆妊娠期間は約2か月 その間、2回は検診を
犬の妊娠期間は交配日から数えて約62日間です。その間、最低2回は動物病院での受診が必要です。
1回目は交配後、約30日頃。超音波検査を行い、胎児がいるか、心臓は動いているかなどを検査します。そして2回目は交配後、約55日頃にレントゲン検査で胎児の頭数や大きさなどを確認します。
さらに、2回目の検診と同時期に、犬の直腸温を計測し始めます。出産間近になると体温が低下するので、平常時の正常体温(37.5~39度くらい)を把握しておくことが重要になるのです。
◆出産に備えてタオルや毛布、子犬用ミルクなどを用意
交配後、62日前後が出産予定日になります。出産予定日を1週間後に控えたくらいから、母犬が安静に過ごせる部屋を準備してあげてください。体温が通常より1度下がった時から24時間以内に分娩を行います。
もし体温が下がったのに陣痛がこない、あるいは羊水と思われる緑の液体などが出てくるなどの場合は、帝王切開が必要になるため、すぐに動物病院へ。
予定頭数が生まれれば、ひと安心です。生まれてから24時間以内に母乳(初乳)を飲ませて、後は子犬たちが呼吸をしているかどうか、寒くないかを注意してあげてください。生まれたての子犬に最も気を使わないといけない点は、体温の低下。毛布を敷きつめ、室温も少し高めに設定しましょう。
母犬がしっかりと子犬の面倒を見ているかどうか観察することも大切です。もし、面倒を見ていなければ、ミルクを人工的にあげましょう。
母犬は産後、カルシウム不足になるので、普段のエサにカルシウムを加えてあげるのもおすすめです。
※女性セブン2017年2月9日号