京都と似ている、東京・新島の節分(写真/アフロ)
2月3日の節分というと、全国的に豆まきをするのが一般的だ。しかし、地域によっては様々な風習があるという。たとえば、東京の新島では、節分には年男が“厄”を落として回る風習がある。
「まず、年男かその家の主人が、うちの中にいる神様に歌を歌いながら豆をお供えするんです。そしたら年男は、5円や10円を紙に包んでひねったものを年齢分(24才だったら24個)用意して、家の近くの四つ角に落とすんです。昔から、辻と辻の交わる場所は異相と通じる場所とされ、そこに自分の厄を豆や小銭に託して捨てるといういわれがあったのです。お金を落としたら後ろは振り向いちゃだめ。そして他の人がそのお金を拾って来る。これは福を拾うことになるんです」(新島島民)
これに似た節分の慣わしが京都でも行われている。半紙にお賽銭と豆を入れてきゅっと包み、それで体をなぞった後、後ろ向きに投げる。まっすぐ着地したらその年はいいことがあるという。しかし、これにも“京都ぎらい”になりそうな話が…。
「新島と一緒にしないでくれまへんか? うちは(安倍)晴明さんにはお世話になっているから、やってるんやと思います。洛中でも母方の上京区ではやっていて、父方の中京区ではやってまへんから、特別な慣わしなんやと思います」(46才・京都府出身女性)
また、北海道では落花生をまく家庭も多い。「雪の中でも拾いやすい」「食べ物が粗末にならない」「大豆よりカロリーが高くエネルギーになる」──これらが北海道で落花生がまかれるようになったゆえんだ。
「豆まきと一緒にチョコもまいてましたね。積もった雪から拾うのが宝探しみたいでうれしかった。だから東京に出てきて大豆をまくことにも驚いたし、食べたら(落花生と違って)まずくてびっくりしました(苦笑)」(39才・北海道出身男性)
弘法大師の生誕地である香川県の志度町の旧志度地区では、『鬼の豆もらい』が行われている。
「子供たちが商店をまわって、元気よく“鬼の豆ください”と声をかけて豆やお菓子をもらうんです。豆を渡すと喜んで帰る子供たちを鬼に見立てて、一緒に厄も持ち帰ってもらおうというもの。忙しくて豆まきを行えない商家に、弘法大師がアドバイスしたのが始まりといわれているんですよ」(45才・香川県出身女性)
“仮装”といえばハロウィンだが、節分でも普段とは違う格好をする習わしがある。普段の自分と違う格好に化けることで、邪から逃げる──それが『節分お化け』と呼ばれる行事だ。明治時代になると廃れてしまったものだが、東京・浅草にある吉原では、文化を残すべく、2011年から異装コンテストとして再開(今年は2月5日に開催)。
「吉原にはお稲荷さんから“吉原狐”も現れます。狐に触れられるとはらむので、遊女たちは狐から逃げ回る。遊女にとって節分は年に1度の楽しいイベントだったんです」(『大江戸よしわら 節分お化け』運営事務局)
京都・祇園でも同様の祭りが行われている。
※女性セブン2017年2月16日号