女性セブンのアラカン名物記者“オバ記者“こと野原広子が、世の中の腹立つことに物申す! 今回は放送中の朝ドラ『べっぴんさん』がターゲット。10月の放送開始以来、第2週をのぞいて、週間平均視聴率が20%を超えるなど人気となっているが、オバ記者は何を怒っているのか?
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「今日という今日はがまんできない。つきあいきれないわ」。飲み屋でクダ巻いているんじゃない。怒りの原因は最近の朝ドラ(NHK連続テレビ小説)『べっぴんさん』。
昭和初期、神戸の洋館で育った手芸好きなお嬢さんが戦後、子供服メーカーを作って成功する物語、と聞いたときは還暦の胸が高鳴ったわよ。子供時代の主人公を演じた渡邉このみちゃんのかわいかったこと。手仕事に夢中になると夜更かしして、朝起きられない。私も含め、手芸好きならみんな身に覚えがある。
菅野美穂が、走りまわる娘たちの姿を見て、この世と別れを惜しむ美しいシーンも、ええ、今でもこの目に焼きついていますとも。ここまで風呂敷を広げられて、さていよいよ戦後。何もなくなった日本に、針と糸でどう起業するか。男が作った従来の会社づくりとは違う組織づくりも面白そう。
◆母娘の葛藤と意味のないシーンの連続
そりゃあ、長~い間や、すみれの「何か、何かな」という突然出てくる決めぜりふ。いつまでも好感のもてない紀夫をもて余したりしたけど、細かいことはいいよ。
外国人用のおむつや、りすの絵の弁当箱セットに、本格陶器の離乳食セット。クリスマスのキャンディー入れ。あの時代にこれは受けただろうなぁというリアリティーさえあれば。
だけどまさか、年が明けたら、ドラマそのものが大破壊するとはなぁ。物づくりはネタ切れか、どうでもいいシーンの連続。中でも最悪なのが、底の浅い母娘のすれ違い話よ。すみれが仕事、仕事で、約束を守らないことに、さくらが腹を立て怒る。
何が気にくわないって、それにすみれが「ごめん」と謝ったこと。あの当時、親が子に謝ったら、母親放棄だよ。下向いて何も言わない父親も、どうかしているって。
◆定時制高校に通っている若者が50万人いたのに
親が親なら娘も娘。その若さと美貌をぶら下げて、ナイトクラブに出入りしたらどうなるか。いい大人ばっかり集まる店だと? もういっぺん言ってみやがれ。ドラマの設定になっている昭和35年の高校進学率は57%だけど、その中に夕方から学校に通った定時制高校生が50万人以上いたんだよ。そのあたりの時代背景がまったく描かれていないって、どうよ。
というわけで、ここのところ、毎朝、リモコン片手に考えるの。見続けても、ロクなことはないぞと強く思う一方で、いや、こんな後味の悪い朝ドラがあるわけがない。今日こそはスカーッと胸のすくような展開になるんじゃないか。
そんなねじれた期待値を含んだ高視聴率としか、思えないんだけど。
※女性セブン2017年2月16日号