国際情報

大前研一氏 トランプ時代の到来は日本に大チャンス

トランプ氏にとっては外交も「ディール」 Reuters/AFLO

 米国のドナルド・トランプ政権の誕生で日本の外交環境も激変しつつある。その中で日本外交は何を目指すべきか、大前研一氏が解説する。

 * * *
 日本政府は戦後70年以上、外交関係について整理することをおろそかにし、国民をごまかし続けてきた。それを根底から見直して世界の国々との付き合い方をゼロベースで組み立てるべきであり、そのことこそが国益につながるのだ。

 トランプ大統領の登場は、その絶好のタイミングである。なぜなら、トランプ大統領は外交も過去の歴史やしがらみにとらわれず、ビジネスと同じ「ディール」と考えているからだ。

 では、日本が「真の独立国家」になるためには、何が必要なのか? 私はリーダーの「人間力」だと思う。

「国防軍」を作って独自の軍事力を持てば、「真の独立国家」になれるという意見もあるが、それは間違っている。日本が保有している兵器の大半はアメリカの技術によるものなので、その継続的な運用については結局、アメリカに頼らねばならないからだ。

 日本は、かつて中曽根康弘首相がレーガン大統領との「ロン・ヤス」関係によって「日米イコール・パートナーシップ」を確立した。その時のように、安倍首相がトランプ大統領と本当の信頼関係を築いて対米関係を定義し直し、沖縄をはじめ横須賀、横田などの在日米軍基地の問題をどのように日本国民が納得のいくかたちで解決・再編していくのかということを、真剣に話し合わねばならない。

 事実上、自衛隊の指揮権を米軍に委ねている「日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」についても、全面的に見直すべきである。

 そのためにはリーダーの「人間力」が不可欠だ。しかしそれは、選挙で勝つことだけを考えてきた政治家や、アメリカン・スクールやチャイナ・スクールで育ってきた外務省の官僚(およびそのOB)には備わっていない。

 日本が「真の独立国家」となるために、トランプ大統領やプーチン大統領らと対等に渡り合えるリーダー(もしくは外交を補佐する専任アドバイザー)の登場を期待したい。

※SAPIO2017年3月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン