かつて相撲界では、人気の力士はたいていレコードを出していた。50万枚のヒットとなった『ネオン無情』の北の冨士や、ミリオンセラーを連発した増位山など、角界にはプロ顔負けの実力派が多い。力士が出したレコードの数々を紹介しよう。
●北の冨士勝昭『ネオン無情』(1967年・テイチク)
NHK相撲解説者としておなじみの元横綱の50万枚売れたヒット曲。同年、LP(アルバム)『北の冨士“艶歌”をうたう』も発売。
●花田『男なみだのブルース』(1969年・ビクター)
貴乃花親方の父、初代貴ノ花が初入幕した翌年に出したデビュー曲。当時19歳で、声にはまだ若々しさが感じられる。
●増位山太志郎『そんな夕子にほれました』(1974年・ユニオン)
角界一の美声で、125万枚のミリオンセラー。作詞は初代林家三平の妻・海老名香葉子で、夕子とは林家家のお手伝いさんの名。
●貴ノ花健士『貴ノ花 男の花道』(1975年・トリオ)
レコードデビューから6年後、大関時代に発表した曲。男の生き様を描いた歌詞には意外なフォーク調の曲。B面は相撲甚句。
●龍虎『沈丁花』(1977年・RVC)
元小結で角界出身タレントの先駆けとして活躍。意外にも現役時代ではなく、1975年に引退した後、レコードデビューを果たす。
●増位山太志郎『そんな女のひとりごと』(1977年・ユニオン)
ロングセラーで130万枚を記録。日本有線大賞の有線音楽賞とベストヒット賞を獲得。紅白歌合戦出場のオファーもあったという。
●魁傑将晃『男の旅愁』(1977年・テイチク)
貴ノ花、輪島とともに「阿佐ヶ谷トリオ」と呼ばれた元大関。作曲は『とびだせヤクルトスワローズ』を手がけた鈴木淳。
●高見山大五郎『ジェシー・ザ・スーパーマン』(1979年・RVC)
タイトルのジェシーは高見山の本名。ディスコサウンドをバックに高見山が「スーパーマン」とシャウトしている。
●琴風豪規『まわり道』(1982年・ディスコメイト)
ロングセラーとなったデビュー曲は、なかにし礼作詞、三木たかし作曲の売れっ子コンビの手による歌謡曲。
●琴風豪規『東京めぐり愛』(1984年・ディスコメイト)
なかにし礼の作詞。東京に逃げた昔の女を探し出し、プロポーズするという内容を、石川さゆりとのデュエットで歌い上げている。
●朝潮太郎『ほたる川』(1984年・ラジオシティ)
現・高砂親方のデビュー曲。1983年11月場所はけがのため全休し、1984年1月場所は大関カド番となった状況下で発売された
■協力/えとせとらレコード
※週刊ポスト2017年2月10日号