最近、あちこちで聞かれる「グランピング」という言葉。〈グラマラス〉と〈キャンピング〉を合わせた造語で、大自然の中でも、まるで高級ホテルにいるかのようなホスピタリティに溢れたキャンプスタイルのことを指す。
「これまでキャンプといえば、自分たちで火を起こして料理をしたり、夜は屋外にテントを張って寝たりと、“不自由”をあえて楽しむシーンが多かったのですが、最近は違ったニーズも出てきました。
キャンピングカーで出掛けて自然を満喫した後は、道の駅に寄って弁当を買い、車内の電子レンジで温めて食べる。そして、テレビを見ながら虫にも刺されずに車中泊で快適に眠りたい──そんな人たちが増えているのです」
こう話すのは、日産自動車LCV事業本部グローバルコンバージョン部主管の森本憲和氏だ。
つまりは、キャンプといえども、意気込んで専用装備を揃えるわけではなく、日常のライフスタイルを保ったまま贅沢な気分に浸りたい、ということか。そんな“今時キャンパー”の嗜好に合わせながら、キャンピングカーも進化を遂げている。
2月5日まで幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されている「ジャパン キャンピングカーショー2017」では、キャブコンと呼ばれるトラックをベースにした、いかにも豪華なキャンピングカーが多数展示される一方、来場者の興味を引いていたのが、外見だけではキャンピングカーと分からない“普段乗りプラスアルファ”のクルマだ。
前出の日産が今年度中に発売を予定しているキャンピングカー「NV350」も、商用車として乗り回す人の多い「キャラバン」がベースになっている。だが、車内を覗いてみると、その充実ぶりに目を見張る。液晶テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、IH調理器、そして、何と家庭のリビングで使われているような大型エアコンまで装備している。
しかも、同車がもっとも優れているのは、EV(電気自動車)の「リーフ」で培ったリチウムイオンバッテリーが搭載されていることである。
「このリチウムイオンバッテリーは家庭用の100ボルトコンセントで充電でき、8時間のフル充電で12キロワットの電気が使えます。一般家庭で1日に使う電力が10キロワットといわれているので、1回充電で2泊3日の車中泊キャンプはラクに行って帰ってこられます。
また、エンジンを止めたままでも車内で電気を使えるので、夜間アイドリング禁止の道の駅でもエアコンをつけて快適に寝ることができますし、温度管理が欠かせないペット連れでも安心です」(前出・日産の森本氏)