「Eテレがなくなる!」――そんな噂が昨年秋にネットを中心に駆け巡った。以来、Eテレの意義やおもしろさを力説しつつ、Eテレ存続を熱く訴える人たちが続出した。
もちろん、コレは単なる噂にすぎないことがすぐ判明したが、“Eテレ愛”を謳う人たちは、今も後を絶たない。そんな彼らに共通するキーワードは、「Eテレは攻めている!」だ。
かつては『NHK教育テレビ』という名称だったEテレ。2010年に今の名称が採用されたのだが、その意味は、Educational(教育の)Television(テレビ)の略で、“E”には、Ecology(環境)の意味も含まれている。正式名称を見る限り、“教育番組”としての役割は変わっていないように思うが、なぜ、民放顔負けのバラエティー色の強い番組が作られるようになったのか?
それには、チャンネル数の増加が関係していると、日経BPヒット総合研究所上席研究員の品田英雄さんは言う。
「衛星放送やCSチャンネルなど、地上波以外のチャンネルが増え続ける中で、“引き”の強い番組作りが求められてきました。そんな中、EテレはNHKなのでスポンサーの縛りもない。だからこそ、比較的自由な発想で番組が作られているんです」
品田さんの言うように、縛りがないからなのか、過去にもチャレンジングな番組がなかったわけではない。
ひと言も言葉を発しないノッポさんが、いろんなものを作る『できるかな』(1970年)や、子供のための料理番組『ひとりでできるもん!』(1991年)、グッチ裕三とパペットたちのバラエティショー『ハッチポッチステーション』(1996年)なども、それまでにはなかった斬新な発想が取り入れられている。
加えて、日本を代表するトップクリエーターを次々と起用。若者の本音をぶつけ合うトーク番組『YOU』(1982年)には、コピーライターの糸井重里さん(68才)が初代司会に。2002年から放送されている『ピタゴラスイッチ』は、数々のヒットCMや番組を生み出したメディアクリエーターの佐藤雅彦さん(62才)が監修に携わっている。
「若手クリエーターが企画、制作したミニ番組を放送する『Eテレ・ジャッジ』など、新しい才能の発掘にも積極的。それがEテレの斬新な番組作りにつながっています」(品田さん)
放送時間では、15~30分の番組も多く、なかにはたった5分の番組まであり、気楽に見られるものが多いのも特徴。
※女性セブン2017年2月16日号