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大ヒット歌手・力士の増位山 紅白出演オファーあった

手に持つのは日本有線大賞ベストヒット賞のトロフィー

 かつて相撲界では、人気の力士はたいていレコードを出していた。その代表格が、1977年にリリースした『そんな女のひとりごと』が130万枚の売り上げを記録した増位山太志郎だ。角界屈指の歌い手が、当時を振り返る。

 * * *
 子供の頃はコーラス部に入っていて、小学5年生の時にテレビ番組に出たこともあった。力士になる前は歌手になるのが夢だったね。

 昔は福祉相撲やテレビ番組で力士が歌を披露する場面が結構あったし、地方巡業する際に「力士が歌ったり、野球をしたりするなら、興行を受けましょう」という契約条件もあったんだよね。取組以外の部分でも、お客さんを呼ぼうとする風習があった。

 まだ前頭の頃、部屋の千秋楽パーティーで歌っていたら、小林旭さんの歌を書いたこともある文芸評論家の小島貞二さんが「そんなに好きならレコード出す?」といってくれたから、「出したいです」と即答したね。それで、1972年に小島さん作詞の『いろは恋唄』でデビューした。嬉しかったね。

 歌は相撲にも活きたよ。ウチの親方は趣味を持ったほうが人間的にも幅が出るという方針だったし、歌っている時は相撲のことを考えないで済む。肩の力が抜けて、いい気分転換になった。

 2枚目の『そんな夕子にほれました』は60万枚くらい売れたんだよね。それなのにレコード会社が潰れたから、テイチクレコードに移籍して、その時に初めて印税契約をした。そこからまた65万枚くらい売れた。キャンペーンもしてないのに、なんであんなに売れたのかよくわからないよ。

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