1月23日に政府の有識者会議は天皇の生前退位についての論点整理を公表した。今後、今上天皇の「一代限り」で退位を認める特措法が国会に提出される方向だ。
しかし、今国会での審議が天皇のご意向に沿ったもので進む可能性が低いと見るのは、天皇の御宸襟(ごしんきん)を知り得る立場にある2人のご学友である。
女子学習院幼稚園から高等科まで天皇と共に学んだ明石元紹氏が話す。
「安倍首相は1月23日の衆院本会議で“(生前退位問題を)決して政争の具にしてはならず、政治家が良識を発揮しなければならない”と述べましたが、野党はこの問題を取り上げ安倍政権を攻撃し始めており、政争の具にされている現状がある。これは陛下のお気持ちに沿わない形で議論が進んでいることの現われです。
私には政府がこの国の将来をきちんと見据えないまま、陛下の退位という非常に重要な問題を扱っているように見えます」
学習院初等科から大学までのご学友だった橋本明氏はこう言う。
「生前退位は一代限りではなく恒久法で、という思いが陛下にはあったと思います。陛下と政府の考えには明らかな乖離が見える。政争の具にはしてほしくないが、今後、国会で議論されていく中で、少しでも陛下のお気持ちに近づいていくことを願っています」
撮影/雑誌協会代表取材
※週刊ポスト2017年2月10日号