アメリカのドナルド・トランプ大統領が、日本を標的にした“口撃”を繰り返している。それに対して日本では、政治家もメディアもただ慌てふためくばかりで、誰も本気で言い返そうとしない。日米貿易摩擦がピークの1989年、石原慎太郎氏(84)は『「NO」と言える日本』(盛田昭夫氏との共著)を上梓し、アメリカ相手に日本の立場を堂々と主張した。石原氏が、トランプ大統領誕生をいち早く予言した盟友・亀井静香氏(80)とともに、再びアメリカに「NO」を叩きつけた。
亀井:トランプは、そのうちに考えを変えるだろうなんて呑気なことを言っていたらダメです。トランプと戦うことですよ。私は最初からトランプが当選すると思っていた。
日米関係についてめちゃくちゃなことを言っている男が大統領になるのなら、就任前に話をつけに行かなきゃならんと思い、昨年5月に外国人記者クラブで石原さんと一緒に会見して、トランプに果たし状を突きつけたんです。トランプじゃなく花札で勝負だと(笑)。
石原:亀井さんがトランプに会いに行こうというので、それは結構なことだと話に乗った。記者会見で、「トランプに何を言うんですか?」と聞かれたので、ひと言でいえば「なめたらいかんぜよ」と言ってやると。『鬼龍院花子の生涯』の有名なフレーズですが。
亀井:それで、文書で申し入れをして、11月の選挙戦の最終日に会談するという返答が来た。
石原:亀井さんがニューヨークに発つ前々日に、私は菅(義偉)官房長官に電話した。アメリカは日本の技術を必要としているから怯(ひる)むなと。
たとえば、アメリカの最新戦闘機のコクピットには、ダッシュボードのセラミックや、急上昇・急降下でも濁らない液晶パネルなど、日本の技術が多数入っている。ボーイング社の社長が、「今度の飛行機はメイド・イン・アメリカじゃない、メイド・ウィズ・ジャパンだ」と言ったぐらい。アメリカはそういった技術を盗もうとして、結局あきらめて、日本に発注しているわけです。
だから、保護貿易かなんか知らんが、安倍総理はそういう事実を踏まえてトランプと会ったほうがいいと菅さんに伝えたら、「総理に伝えます」と言っていた。とにかく日本を「なめたらいかんぜよ」ってことです。