ペット愛好家にとって重要な課題となるのが、人間の赤ちゃんといかに仲よく暮らすかということだ。赤ちゃんに対する感染症の問題もあれば、ペットが赤ちゃんを怖がってしまうこともあるかもしれない。和歌山県の30才主婦から、こんなお悩みが届いた。
「3才になる猫を飼っています。現在私は妊娠中で、5月に出産予定です。先住猫と赤ちゃんが仲よく暮らすコツを教えてください」(和歌山県・ロッキーズ、30才・主婦)
国際猫学会ISFM所属で、東京・港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists 」を開院している山本宗伸さんが、猫と赤ちゃんが仲よくするコツを解説する。
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新しい命を授かり、家族が増える喜びを感じる一方で、先住猫とのつきあい方に不安を覚えるかたは多いです。正しい知識を身につけ、猫と共に新しい家族を迎えましょう。
◆気をつけるべきは感染症 スキンシップはがまん!
猫から人にうつる病気で最も有名なのが“トキソプラズマ症”です。これは寄生虫が原因の感染症で、胎児や幼児にうつると、ごく稀に死に至ることも。また、猫の常在菌による“パスツレラ症”も感染ケースが多く、噛まれたり引っかかれるとうつります。
基本的に、妊娠してから新たに猫を飼うのはやめましょう。先住猫は、完全室内飼育とし、外に出すのは避けて。
そして、トイレは常に清潔に保ち、掃除をした後はしっかり手洗いを。菌は猫の口の中にいるので、妊娠中も、猫にキスをするなどのスキンシップはがまんしましょう。
◆猫と赤ちゃんを仲よくさせるコツとは?
赤ちゃんが生まれたらいよいよ猫と対面です。一般的に赤ちゃんと猫はあまり相性がよくないといわれています。猫からすると赤ちゃんは、動きが予想しづらく、声も大きいため、怖い存在なのです。猫を抱っこして無理矢理赤ちゃんに近づけるなどの行動はしないでください。猫のペースで自然と近づかせるのが理想的です。
また、最初は赤ちゃんのいるスペースに、猫が入れないようにし、家族と一緒の時だけ赤ちゃんのそばにいられるようにした方が安心です。
飼い主が赤ちゃんを抱っこしている時に近寄ってくるなど、猫が赤ちゃんに興味を持ち始めたら次のステップです。赤ちゃんと猫が近くにいる時や、赤ちゃんが泣いている時に猫におやつを与え、「赤ちゃんの近くにいたらいいことが起こる」と学習させるといいでしょう。
特に高齢の猫の場合、ストレスを感じやすくなるので、赤ちゃんが近寄らない静かな部屋を用意してあげるのもおすすめです。また、飼い主への依存度が高い猫は、構ってもらえなくなるとストレスを感じます。赤ちゃんとの生活で忙しくなると思いますが、愛猫ともしっかり遊んであげてください。いい関係を築ければ、きっと猫は子供のよき友達になってくれるはずです。
※女性セブン2017年2月16日号